本文へ移動

江戸期の忍術写本見つかる 滋賀・甲賀の神社

2022年6月20日 05時05分 (6月20日 05時06分更新)
忍び入る際の方法を書いた項目。手を取り合うか、または帯に糸を付けて、または時々合言葉を使って入る、出る時もまた合図が第一であると記している=19日、滋賀県甲賀市甲南町で

忍び入る際の方法を書いた項目。手を取り合うか、または帯に糸を付けて、または時々合言葉を使って入る、出る時もまた合図が第一であると記している=19日、滋賀県甲賀市甲南町で

 江戸時代初期にまとめられたとみられる忍術書「間林清陽(かんりんせいよう)」中巻の写本(一七四八年)が、滋賀県甲賀市内の神社の社務所で見つかった。忍術書で最も知られている江戸前期の「万川集海(ばんせんしゅうかい)」の基になったとされる。甲賀忍者の研究者らでつくる「甲賀流忍者調査団」が十九日、発表した。 (島将之)
 発見された写本は四十ページあり、情報収集が主な役目だった忍者の戦法、忍具の作り方などが、四十八項目にわたって記されている。
 例えば複数人で忍び込む際の仲間との確認方法では手を取り合う、帯に糸を付ける、合言葉を使う、などと具体的に記している。
 音を立てないよう、草履の裏に真綿をのりで付ける方法を伝授。逃げる途中でばらまく「撒菱(まきびし)」は古い竹を細く割って作るよう記してある。音は戸尻(扉の付け根など)に耳を当てるとよく聞こえる、という。
 敵に見つかったら二、三人で固まって刀先を並べ、敵の右へ、右へと切りかかるよう指南。ユニークな番犬対策の記述まである。ほえないよう手のひらに「鬼」の字を書いて犬に見せ、もう片手で忍者特有の印を結び「九字」の呪文を唱える、と説明してあった。
 写本は、甲賀市甲南町の葛木地区が管理する社務所の書類棚に収められていた。江戸時代前期に忍び役で尾張藩に仕えた甲賀出身の吉川家の子孫に関する他の文書と一緒に、整理されていた。吉川家が写本にして引き継いだとみられる。
 昨年十二月、甲賀市地域おこし協力隊の福島嵩仁さん(37)が発見。福島さんは三重大院で忍者・忍術学を専攻し修士課程で万川集海のルーツを研究していた。
 調査団の団長で歴史学者の磯田道史・国際日本文化研究センター教授は「リアルな忍者の情報が得られる古い体系の実践的な忍術書。発見に驚いた」と話す。
 甲賀、伊賀流両派の忍術や忍びの心得を説いた万川集海は江戸時代前期、伊賀の藤林家がまとめた。冒頭に時代に合うものを間林清陽から選び、万川集海にまとめたと記されていた。

発祥地で発見意義深い

 忍者研究の第一人者で三重大人文学部の山田雄司教授の話 上下巻もあるかもしれない。忍術書は伊賀、甲賀が発祥で、各地で写されて残った。忍者の地元でその根本が発見されたのは大変な意義がある。

関連キーワード

おすすめ情報