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筋肉質?おわん型の蹄? 初ダート組の適性・格言の背景を考える【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】

2022年6月17日 06時00分

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インダストリア

インダストリア

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 ユニコーンSには、芝で実績のある馬が初ダートに挑戦というケースが散見される。直近10年では、ここが初ダートという馬は7頭。2019年ワイドファラオが勝っているが、ほか6頭は掲示板もないという両極端な、あるいはかなり厳しい結果に終わっている。こういう馬たちは、実績外の部分で適性を類推することを強いられる。
 血統はもちろん、体形などからダート適性の高さを評価しうるという学術的知見はない。体形の特徴や走行特性は数値化しにくいし、科学論文としてまとめようとしても切り口の客観性を確保することが難しい。そういう仕事は馬券の役には立っても、研究者の仕事としては評価されづらい。
 一方で、ダート適性に関する格言はあまたある。これらは合理的だと言えるだろうか。
 「がっちり系の筋肉質は向く」。ダート走路の表面は不安定だ。表面から9センチの深さに硬い路盤はあるものの、これをつかまえたとしても蹄尖部だけ。蹄の接地の瞬間に、路盤からの反作用は小さくなる。バネに頼った走りはエネルギー効率を支えるが、これは蹄が地面をけったときにエネルギーが保存されることが大前提。ダート走路の速度維持には、四蹄を絶えず高速回転させて、路盤にエネルギーを加えていかなければならない。ならば、その回転を生むためには、バネとして働く腱の働きよりも、エネルギーを絶えず投入して伸び縮みする筋肉の働きの方が利いてくる。筋肉質な方が有利だ。
 「おわん型の蹄はダート向き」。路盤を完全につかまえられないなら、砂の流動性を瞬間的にも小さくして、反作用を引き出せると馬は前に進みやすい。蹄底の容量と、蹄接地時の砂の動態はハイスピードカメラなどで検証してみなければ科学的には断定できないが、つかめる砂の量が多ければ、この問題を解決できる可能性はある。おわん型の蹄がダート向きと言われるのはこのためだ。
 今年のユニコーンS出走馬では初ダートが3頭。インダストリアとティーガーデンはバネの利いた走りだがそこそこ筋肉は厚く、蹄底容量も大きい。タイセイディバインはそう筋肉質でもない代わりに蹄底容量がこの3頭では最も大きい。

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