本文へ移動

W杯本番を意識した中3日4連戦、明らかにパフォーマンスが下がっていた全試合スタメンの吉田麻也

2022年6月15日 12時37分

このエントリーをはてなブックマークに追加
試合終了間際、チュニジアに3点目を許し、うなだれる吉田=14日

試合終了間際、チュニジアに3点目を許し、うなだれる吉田=14日

 W杯カタール大会に向けた6月のテストマッチ4試合。パラグアイ、ガーナに4―1と大勝し、ブラジルにも0―1と善戦して迎えた4試合目、日本代表が思わぬ落とし穴にはまり、チュニジアに0―3で大敗した。
 本番にあわせ、この4試合は中3日で組まれている。グループリーグ3試合を突破し、準々決勝を勝てば、念願のベスト8進出。11月の本番のシミュレーションとしては最高の舞台だ。チームのできもいい。最高の雰囲気でチュニジア戦を迎えたのだが…。
 前半は悪くなかった。フィールドプレーヤー10人でがっちりとブロックを組んだチュニジアの守備にてこずったが、伊東のサイド突破を軸にいくつかのチャンスを作った。そして前半36分、ビッグチャンスが訪れた。伊東が右サイドを突破してクロス。逆サイドの鎌田が完全にフリーの状態でシュート。ゴール前3メートル、しかし、合わせきれず、ゴールをとらえることができなかった。
 後半に入ると思わぬ落とし穴が待っていた。後半8分、一瞬の隙を突かれて吉田が裏を取られ、無理してスライディングしてPKを献上した。さらに後半31分、相手GKがゴール前からけった間接FKを吉田とGKシュミットダニエルが連係ミスして2点目を失った。後半に入り、明らかに集中力を欠いていた。これが中3日で4試合目の難しさなのだろう。
 この試合を見ていて、東京五輪準々決勝のニュージーランド戦がオーバーラップした。東京五輪の1次リーグ、日本は南アフリカに1―0、メキシコに2―1、フランスに4―0と快進撃で決勝トーナメントに進出。準々決勝のニュージーランドは格下。しかし、思わぬ苦戦を強いられた。
 日本は前半11分、ショートコーナーからのクロスに絶好のタイミングで遠藤が飛び込んだ。ゴール前5メートル。しかし、遠藤がこれをふかしてしまう。その後は堅いブロックを形成し、カウンターを繰り出すニュージーランドに大苦戦し、延長PK戦のすえ、なんとか準決勝に進出。しかし、真夏の延長戦で激しく消耗し、スペインとの準決勝は延長戦の末0―1で敗れ、メキシコとの3位決定戦は1―3で完敗した。
 勝負の世界で「たら、れば」は禁句だが、もし遠藤のシュートが枠をとらえていれば、ニュージーランドはブロックを崩して前に出て攻めざるを得なくなり、そうなれば日本のチャンスも増えてくる。試合展開も大会の流れも、大きく変わっていたかもしれない。チュニジアも同様で鎌田が決めていれば…。
 試合前日、会見に応じた吉田は「コンディションは日に日によくなっている。(サンプドリアでは)ケガで出場時間がなかったし、代表でコンスタントに試合にでるようになり、コンディションが上がってきた」と明るい表情で話していた。しかし、4試合連続スタメン出場の吉田のパフォーマンスは明らかに下がっていた。
 2週間のホテル暮らし。試合後は1日リカバリー、2日間戦術練習。生き残りをかけたサバイバル合宿の緊張感。外出して息抜きすることもできず、毎日同じ顔を突き合わせて過ごす。そのストレスは想像を絶する。そのうえ、試合ごとに肉体的、精神的な疲労が蓄積する。こうなると反射的なスピードだけでなく、決断力など考えるスピードも落ちていく。思うように体が動かなくなり、技術的なミスだけでなく判断ミスが増え、そのミスは敗戦に直結する。
 そして結果を残さなければ、たたかれる。その後の人生も大きく変わっていく。華やかだが、厳しい世界だ。
 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ