本文へ移動

入国制限緩和…大学キャンパスに留学生戻る

2022年6月8日 13時54分 (6月8日 14時24分更新)
 新型コロナウイルス禍による入国制限が3月に緩和され、大学のキャンパスに外国人留学生の姿が戻りつつある。ただ、母国の事情などで来日できていないケースもあり、受け入れ拡大のペースはまだゆっくり。9月以降の新学期に向けて留学生の入国は加速していくとみられ、大学側は事務手続きや心身のケアに奔走している。(杉浦正至)

多文化交流ラウンジで「日本に来られて良かった」と話す何さん㊧=名古屋市昭和区の南山大で


南山大留学生「トンネルの中にいた」

 「トンネルの中。光が見えなかった」。南山大(名古屋市)の大学院社会科学研究科で経営学を修める中国・上海出身の何平さん(34)は、流ちょうな日本語でこの二年間を振り返った。「自分の将来はどうなるのか。諦めたくなる気持ちもあった」
 日本のテレビドラマや化粧品が好き。二〇一八年度に東京の学校で日本語を学んだ。日本式の経営やおもてなし文化を研究しようと、大学院での再留学を決意。二〇年四月に入学するはずだったが、コロナ禍で延期になった。半年遅れで九月に入学したが、来日できないままオンライン授業を受け続けた。
 状況が好転したのは今年一月。大学の国際センターから「入国制限が緩和されるそう」と連絡があった。すぐさま渡航の準備を進め、留学に必要なビザを二月に取得。三月に入国できたが、一週間はホテルで隔離生活を送った。

たった半年のキャンパスライフ

 修士課程は二年間。日本にいられるのは、九月までの半年間だけ。その短いキャンパスライフも修士論文の執筆に追われる。それでも「リアルで人の目を見ながら学習することが重要」と喜ぶ。
 同大に二一年度に入国できた留学生はゼロ。今年三月以降は来日予定の十カ国五十六人のうち、五十二人が入国した。残る四人は母国がロックダウン状態にあり、出国できていない。国際センター事務室国際交流係長の野間綾さんは「母国と日本、両方の扉が開くタイミングが合わないと入国できない」と説明する。

大学側は受け入れ手続きに奔走

 各大学はビザの申請に先立ち、「受入責任者」として留学生の情報を日本政府のオンラインシステムに入力する必要がある。南山大は入国制限の緩和を受け、世界各地にいる留学生とメールで連絡を重ね、速やかに来日できるよう個々の事情を確認。隔離期間のホテルを手配し、宿泊費や食費も負担した。
 短期間の交換留学なども含めると、今秋には三百人規模の外国人留学生がキャンパスに戻る見込み。ただ、感染状況や政府の方針次第で退学者や辞退者も増えかねない。野間さんは「たとえ過ごせる時間が短くなっても、日本にいるからできる学生間の交流をサポートしたい」と話す。

日本人学生も交流に期待

 同大の多文化交流ラウンジ「Stella(ステラ)」も、利用時間や人数の制限が続く。運営スタッフを務める人文学部四年の山本高之さん(21)は「以前と比べ、利用者は少ない。存在を忘れられているのかも」。外国語学部三年の塚原みのりさん(20)は、コロナ禍で自身の短期留学もなくなったといい「外国の文化と直接関わりたい」と交流の復活に期待した。

中部9県 国立大でも来日相次ぐ

 本紙が中部九県の国立大各一校に取材したところ、五月末時点で、全校で来日予定者の半数以上が入国を果たしている。いずれも今後、受け入れを拡大する見通し。

 名古屋大は約六百六十人のうち、四百人余が入国済み。今後も、数十人規模の来日を見込む。「不慣れな環境に不安を覚える学生もいる」(学生交流課)として、カウンセリングなどの対応にも力を注ぐ。
 政府の水際対策による手続き業務の負担増を嘆く声も聞かれた。三重大広報室は「留学生の所在国・地域、ワクチン接種状況によって水際対策が異なる」と指摘。岐阜大留学支援室は「留学生が四月に一斉に来ていたコロナ禍前、ほとんど来日できなかったコロナ禍、徐々にしか渡日できない現在。業務の負担は現在が最も大きい」と答えた。
 私立の名古屋外国語大は、留学生が暮らす学生寮の感染対策を厳格化。「習慣の異なる留学生にルールを守ってもらうため、来日時のオリエンテーションで細かく指導している」と説明した。

関連キーワード

おすすめ情報

学ぶの新着

記事一覧