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【石川】ランドセル「担ぐ」って方言? 全国では「背負う」大半

2022年6月6日 05時05分 (6月6日 10時26分更新)
ランドセルを選ぶ親子連れ=5日、金沢市武蔵町の金沢エムザで

ランドセルを選ぶ親子連れ=5日、金沢市武蔵町の金沢エムザで

  • ランドセルを選ぶ親子連れ=5日、金沢市武蔵町の金沢エムザで

▽北陸の「かずく」共通語化か

 読者の素朴な疑問を掘り下げる「Your Scoop(ユースク)〜みんなの取材班」に、ランドセルの持ち方の表現を巡る依頼が寄せられた。妹の夫に「担ぐなんて、おみこしみたいですね」と笑われたという金沢市の市川和恵さん(48)。家族の間に流れたモヤモヤ解消のため、ユースクが調べた。(奥田哲平)

◇ランドセルの持ち方の表現 先日めいのランドセル購入に妹夫婦とお店に行きました。石川県出身の私たちはランドセルを「かつぐ」。妹の旦那さん(岐阜県出身)は「背負う」と言います。「かつぐ」と表現するのは石川県だけでしょうか。(金沢市の市川和恵さん)


 金沢市武蔵町の金沢エムザ。七階の売り場では、来春に小学校入学を迎える子どものランドセル選びがピークを迎えている。五日に訪れた金沢市内の五人家族は、父(37)が地元出身で「ランドセルは担ぐでしょう」と言えば、山口県出身の母(36)は「背負う」。富山県射水市の男性(43)も「担ぐって、子どもの頃から言いますけど、北陸だけですか?」と首をひねった。
 「フィットちゃんランドセル」を製造販売する「ハシモト」(富山市)は昨年十月に公式ツイッターで言い方のアンケートを実施。きっかけは販売担当の背俊幸さん(29)が全国各地の展示会で「担いでみてください」と接客したところ、通じなかった経験から。回答の七割が「背負う」か「しょう」で「かつぐ」は22%にとどまった。九州方言の「からう」も7%あった。
 広辞苑で「担ぐ」は「肩に掛けて持つ」の意味。「背負う」は文字どおり「背に負う。背に乗せる」。使う身体の部位が異なる。ランドセルは「学童用の背負いかばん」とあり、やはり背負うが全国では一般的のようだ。
 加藤和夫・金沢大名誉教授(日本語学)によると、国立国語研究所が全国二千四百地点での調査結果をまとめた「日本言語地図」(一九六六〜七四年)では、福井県嶺北地方から石川、富山の両県と新潟県の一部で「包みを背負う」の意味で「かずく」という方言が広く分布し、「材木を担ぐ」は「かたねる」だった。いずれも現在は、ほぼ使われていない。
 加藤名誉教授は、北陸地方でランドセルを「担ぐ」と言うようになった理由として、方言の共通語化を挙げる。「ランドセルは背中も肩も両方使う上、『かずく』という伝統方言が『かつぐ』と似た形だったことから、共通語の『かつぐ』を取り入れるにあたって、本来の『背中にせおう』と『肩にかつぐ』のように意味分担せず『かつぐ』一語でまとめて言うようになったのでは」と分析した。
 方言は地域の風土を伝え、豊かな人間関係を支える文化だ。「かつぐ」は伝統方言ではないものの、北陸特有の言い方だった。方言の衰退が進む中で「ランドセルを担ぐ」も守られるだろうか。

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