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途上国の子にワクチン贈る和田に感銘…大野雄が続けるひとり親家庭の試合招待 それに憧れた球児がいつの日か同志に

2022年6月4日 10時11分

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3回表2死一、三塁、中村晃を遊ゴロに打ち取り、グラブを叩く大野雄=3日

3回表2死一、三塁、中村晃を遊ゴロに打ち取り、グラブを叩く大野雄=3日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇3日 交流戦 中日0―6ソフトバンク(バンテリンドームナゴヤ)
 その昔、誰かがまいた善意の種は、今や大地に根を張り、立派な木に育っている。その太い枝の1人が大野雄だ。竜党なら周知のように、彼は2017年から「大野雄大招待プロジェクト」を立ち上げ、自身と同じひとり親家庭を対象に、バンテリンドームの試合に招待している。
 「始めたきっかけは、高校の時にCMで知った和田(毅)さんの活動なんです。素直にかっこいいと思ったし、成績に応じて決めるというのが、なおかっこいい。いつか僕もプロ野球選手になって、そういう活動をやりたい。そう思いました」
 和田は05年から開発途上国の子どもたちのために、感染症のワクチンを届けている。投げれば投げるほど、勝てば勝つほど本数は増える。昨オフだと4万300本のワクチンをミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツに送っている。大野雄はその活動に感銘を受け、後に続いた。2人には面識も接点もないが、志でつながったのだ。
 「僕はプロ野球選手になっていなくても、社会人になったら自分の働いたお金で何かやりたいと考えていたんです。日本では当たり前のワクチンがない。それだけの理由で救える命が亡くなっている。誰もやっていなかったことをやってみたくて、ワクチンを送ることにしたんです」
 こう話してくれた和田自身も、先輩の井口(現ロッテ監督)や阪神の赤星憲広が、車いすを寄贈する活動に影響を受けたそうだ。きっと井口や赤星も誰かの背中を見て、立ち上がったはずだ。和田は大野雄に影響を及ぼしていたと知り「めちゃくちゃうれしいです」と喜んだ。それを聞いた大野雄も「うれしいのはこっちの方です」と笑顔で応じた。
 始まりはたった一粒の種でも、花が咲けば善意は花粉のように拡散する。アスリートが慈善活動を公にすることで一般の人を巻き込み、支援の輪はさらに広がる。そして京都の球児が和田を「かっこいい」と思ったように、大野雄にあこがれたどこかの少年少女が、いつの日か新たな同志となる。

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