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かつての天敵、中日・荒木一塁コーチの網にかかる…楽天・岸が疑心暗鬼に 初回アリエルの“無謀”初盗塁の真の狙い

2022年6月3日 10時35分

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1回裏2死一塁、打者阿部のとき、A・マルティネスが二盗に成功

1回裏2死一塁、打者阿部のとき、A・マルティネスが二盗に成功

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇2日 交流戦 中日3―2楽天(バンテリンドームナゴヤ)
 まさしく奇襲だった。1回、幸先よく1点を先取した直後の2死一塁だった。阿部の初球。何と走った。A・マルティネス。目を疑った。タッチをかいくぐって、二盗を決めた。
 「荒木コーチと行けるなら行こうと話していて、足の状態も良かったので積極的に行った」
 マルティネスは誇らしげに来日初盗塁を語った。阿部が倒れて得点には結び付かなかったが、この1球が岸攻略に大きく効いた。
 捕手の炭谷の盗塁阻止率4割5分8厘(企図24、盗塁刺11)は、リーグトップ。仕掛けるのは勇気がいる。いや、無謀と言った方が近い。それでも「効いた」と思うのは、その1球が111キロのカーブだったからだ。岸の代名詞だが、最も遅い。配球を読んだかのような初球盗塁は、岸の内面を揺さぶる。クセが出ているのか…。疑心が暗鬼を生むのである。
 「アウトになるかもしれませんが、行かせてもいいですか。(試合前に)監督にそうお願いしたら、監督は『思い切って行かせろ』と。アウトになってはいけないんですが、気にさせたかったんです」
 荒木一塁コーチが具申し、立浪監督が承認した。無謀な走者ほど効き目はでかい。過去13戦でたったの1勝。岸は長年の天敵だが、実は現役時代にその岸の天敵だったのが荒木だった。通算打率3割4分6厘(26打数9安打)。岸のクイックモーションには2種類あることを知っている。通常バージョンは速くはないが、球持ちがいい。スーパークイックは盗むのは困難だが、投球の質は少し落ちる。そして初球はかなりの確率で通常バージョン…。
 「気にさせたかった」とはここを指す。1回からマルティネスが走れば、以降はスーパークイックで対応する。そこをたたく…。出塁を重ねるたびに、岸の心の中で暗鬼は大きくなった。スーパークイックをやらせるための盗塁。あの1球こそが岸をつかまえる網だった。

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