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「バットマン」と呼ばれた宮本恒靖さん、W杯日韓大会から20年「人生が大きく変わった」

2022年5月30日 05時00分

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宮本恒靖さん

宮本恒靖さん

 サッカーW杯がアジアで初めて開催された2002年日韓大会から5月31日でちょうど20年を迎える。歓喜と熱狂の渦の中心にいた元日本代表DF宮本恒靖さん(45)=現日本サッカー協会理事=は「人生が大きく変わった大会」と振り返り、細かな記憶と共に日本サッカーの歩みや未来へのリアルな思いを熱っぽく語ってくれた。(取材・構成=松岡祐司)
   ◇   ◇
 ―W杯日韓大会から20年。どんな大会だったか
 宮本さん「サッカー選手としての人生が大きく変わった大会だと思っています。競技もそうですし、マスクをしていたことでたくさんの人に知ってもらえて、今でも『あの時の!』みたいなことも言われます。それは幸か不幸か、幸の方があったと思います(笑)。そういう意味でも、自分のキャリアの転換点だったなと思います」
 ―黒色のフェースマスクを着けた姿は「バットマン」と呼ばれ、世界中で話題になった
 「(フェースマスクは)固さ、材質で3、4つあったものから2つくらい選んで、突貫工事で間に合わせてくれたんですよ。(鼻骨)骨折が分かって、その夜に業者の人が大阪から来て型を取って、次の朝、起きるころには出来上がっていました。とにかく着けて試合に出られるのであれば(嫌ではなかった)。骨折をした鼻を戻す作業がすごく痛いんです。それだけはもう1回したくなかったので、鼻を守るためでした」
 ―具体的に覚えていること、印象に残っている試合は
 「横浜の試合(6月9日、1次リーグ第2戦・ロシア戦)ですね。競技場の下から(階段を上がってピッチへ)入場する時に見た景色、ライトに照らされた夜空があって、大事な試合が始まるという高まりと、少し冷静な自分もいて、『ゾーン』に入ったような瞬間だったなというのは覚えています」
 「自分たちがどれくらいの成績を残せるかによって、日本サッカーの行方が決まるのではないかということも感じながら選手たちはやっていました。初戦(ベルギー戦)を2―2で引き分けて、W杯で初めて勝ち点1を挙げられたのは良かったですけど、ホスト国として勝つということが大事なテーマとしてあったので、どの試合が印象に残っているかと言われたら、やはりロシア戦の勝利は一番にくるような試合じゃないかなと思います」
 ―自国開催のW杯で主将マークを巻くという重圧もあったのではないか
 「五輪代表チームでも代表チームでもそういう役割を与えられて、それに応えようとやっていました。あの大会に限っては、リーダーのような選手もたくさんいましたし、ベテランの秋田(豊)さんや中山(雅史)さんが支えてくれた部分もあります。主将マークを巻いて先頭で出て行くのは栄誉ではありましたけど、あまり深く考えすぎずにやっていたところはあります。経験のある選手が『裏W杯だ』みたいなことを言って、(試合)翌日の練習をモチベーション高くやってくれていたので、試合に出るような人たちはより頑張らないといけないなと思っていました」
 ―初めて1次リーグを突破し、世間に与えたインパクトも大きかった
 「(1次リーグ第3戦のチュニジア戦後)新幹線のこだまに乗って、新大阪から(ベースキャンプ地の)掛川に帰る時、各駅(ホーム)にサポーターの人が待ってくれているんですよね。ドンドンと窓をたたかれて、ちょっと考えられないくらいのフィーバーぶりでした。これくらいのことをやれているという驚きと、これが終わった時にブームが去ってしまわないように続けていかなきゃいけないと同時に感じました」
 ―自国開催のW杯を経験した日本サッカー協会理事として、できること、やりたいことは
 「あのころの代表チームの周りには、すごく熱い空気があったと思うんです。そういうものが常に代表の周りにはないといけないなと思います。たくさんの人が熱さや一体感を経験してもらうことで、それをスタンダードにしていけるようにしたい。競技のところも大事ですが、代表チームの周りにあるものをもう1回、作っていきたいと思います」
 「自分たちの活躍や勝利でこれだけの人を感動させることができる、そういうものは自分の中にすごく残っています。バスに向かって手を振ってくれる子供の顔は『やらなあかんな』と思わせてくれる原動力でもありました。サッカーのいいところは勝利の瞬間、ゴールの瞬間に感情の振れ幅が上がることだと思います。そういう鳥肌が立つような共有、特殊なスポーツであるということをもっとより多くの人に感じてもらいたい。そういうのが日常の中にもっともっと増えていくようにしたい。間違いなくあの時代にはそれがあったので、今はたくさん娯楽の対象もあって、いろいろと違ってきていると思いますけど、もっともっとやれることはあるんじゃないかと思っています」

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