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安価な学生寮 存続を 金沢大が本年度末廃止

2022年5月29日 05時05分 (5月29日 13時33分更新)

存続を求める署名活動が行われている金沢大の泉学寮=いずれも金沢市野町で(古谷祥子撮影)

寮生が署名活動「別宿舎入居 3倍超の負担」

 五十年以上の歴史を持つ金沢大の男子学生自治寮「泉学(せんがく)寮」。現在も学生約七十人が暮らすが、大学側が老朽化を理由に女子学生寮「白梅寮」と併せ、本年度末の廃止を決めている。経済的事情などから泉学寮の存続を求める寮生が、署名活動を開始。二千筆を超える支援が広がり、「学生の意見を聞いてもらい、納得のいく答えが欲しい」と訴える。(古谷祥子)

泉学寮の廃止に反対し、署名活動する寮生ら(寮生提供)

 泉学寮は一九六五年に金沢市野町に設置。鉄筋コンクリート四階建てで、約八畳の各部屋に一〜三年生は二人、四年生以上は一人で暮らす。機械工学類四年の大塚惇司さんは「朝から晩まで、プライベートも接して互いの価値観を知る場は貴重」と話す。学年や専攻の垣根を越えて親睦が深まり自由で多様性に富む気風を好む寮生も多いという。

 二〇一九年二月、大学側が泉学寮と白梅寮の二二年度末での廃止を決め、寮生に説明会を開いた。反対意見はあったが、寮生の多くは卒業。当時一年生だった人文学類四年の富樫洋乃輔(ひろのすけ)さん(21)ら五人が昨年末、「廃寮問題を話し合う会」を結成し、自治会は改めて大学側に廃止理由などの説明を求めた。今年に入り山崎光悦前学長ら大学側と寮生代表が二度面談したが、富樫さんは「決定事項を伝えられただけ。学生の話に耳を傾けていないと感じた」と納得できなかった。
 大学によると、泉学寮、白梅寮ともに建物設備の老朽化が廃止の理由。現在の三倍以上の負担となるが、寮生には大学が管理する学生と留学生対象の別宿舎への入居など、廃止後の救済策を提案した。だが富樫さんは「寮費は泉学寮より高く、自分を含め経済的負担が大きいと感じる学生が多い」と語る。別の四年生(21)も「僕たちの卒業後も、後輩が安定した大学生活を送るために泉学寮は必要。存続が難しいなら、金銭的援助が欲しい」と賛同する。
 富樫さんらは寮存続を求めて署名活動を始め、三月末から複数回、金沢駅や市中心部で街頭に立った。寮生のアルバイト先が協力し、金沢大の教員ら寮OBも支援。当初は大学方針への反発に気後れしていた寮生も加わった。
 「僕たちだけの問題じゃない。未来の学生にとっての損失と感じるようになった」と富樫さん。九月ごろまで署名活動を続け、今年四月に就任した和田隆志学長に手渡したいという。インターネット上でも賛同者を募っており、誰でも署名活動に参加できる。

大学自治寮 減少傾向

 自治寮は、寮生による自治組織が管理運営に携わる。全国の国公立、私立大に設置されている自治寮は、建物の老朽化、周辺環境の変化などから減少傾向。東京大駒場寮は二〇〇一年に廃止された。日本最古の現役学生寮は京都大吉田寮。一九年に大学側が築百年以上の旧棟と、食堂からの立ち退きを求めて寮生を提訴し、現在も係争中。金沢大泉学寮の存続を求める署名サイトはこちらから=

【メモ】金沢大の学生寮 金沢市内中心部に、泉学寮と白梅寮の2施設がある。寄宿料はいずれも月額700円で、運営費や光熱費を含めると約1万円。かつては男子向けの自治寮北溟(ほくめい)寮もあったが、老朽化などから2016年度に廃止。角間キャンパス内には、国際交流を目的にしたシェアハウス型の大学管理宿舎がある。


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