本文へ移動

ナゴヤが全国支配!? 地元愛満載のギャグ漫画が話題

2022年5月28日 16時00分 (5月30日 10時50分更新)
(右)『名古屋以外全部壊滅』の扉絵、(左)敵地に潜入したゲンが中日新聞を手に「名古屋人」のふりをする場面=いずれも(C)藤山佑/集英社

(右)『名古屋以外全部壊滅』の扉絵、(左)敵地に潜入したゲンが中日新聞を手に「名古屋人」のふりをする場面=いずれも(C)藤山佑/集英社

 名古屋市が全国を支配した−。荒唐無稽な設定の短編ギャグ漫画『名古屋以外全部壊滅』が、インターネット上で広く読まれている。作者は同市出身の漫画家・藤山佑(たすく)さん。「名古屋の人に怒られないか」と心配しつつも、郷土愛を込めて地域の特徴を面白おかしく描いた。 (谷口大河)
 舞台は天変地異で壊滅した西暦二〇××年の日本。唯一無事だった名古屋が、混乱に乗じて全国に勢力を伸ばす。その支配を打ち破るため、広島県民の青年衣笠ゲンが戦いを挑む。
 集英社(東京都)が、今月九日に漫画サイト・アプリ「少年ジャンプ+」で公開。たちまちツイッターなどで注目され、閲覧回数は一週間で七十七万を超えた。
 とりわけ話題を呼んでいるのが、豊富に盛り込まれた地域ネタ。ある場面では<中日新聞を読みながら「燃えよドラゴンズ」を歌えばどこからどう見ても名古屋人!>と、主人公が特徴を語り、別の場面では、武将姿の人物が呪文のような名古屋弁を口にする。
 <キットカットカットカントカンカッタノニナンデカットカンカッタン?(キットカットを買っておかないといけなかったのに、どうして買っておかなかったのですか)>
 藤山さんは、愛知県立旭丘高校OBで、二〇一五年から漫画家として活動する。大学進学で上京するまで、名古屋市で育った。「自分はかなり地元愛が強い方だと思うが、自画自賛にならないよう、あえて名古屋を笑える悪役に設定した」と背景を語る。
 読者からは「名古屋大好きなんだなぁ」「愛知をいっぱい紹介していただきうれしいです!」など、好意的な感想が寄せられ、作中に登場する日本モンキーパーク(愛知県犬山市)もツイッターで反応した。続編は未定だが、藤山さんは「他の地域からも『取り上げてほしい』という声があった」と反響の大きさに驚き、「次の作品に生かしたい」と話している。
 作品は「少年ジャンプ+」のウェブ版、もしくはアプリ版で無料で読むことができる。

「ご当地」の人気作次々 「根底に敬意や自慢」

 地域の特性や県民性のテーマは、ギャグ漫画の定番の一つ。これまでも人気作が次々と世に出ている。
 名古屋と東海地区に関するうんちくが詰まった四コマ漫画「八十亀(やとがめ)ちゃんかんさつにっき」(安藤正基(まさき)作)は現在、テレビ愛知などでアニメが放映中。ユーモアを交えて埼玉県の苦境を描く「翔(と)んで埼玉」(魔夜峰央(まやみねお)作)は、二〇一九年に実写映画化され、続編も予定されている。
 人気の背景について、京都精華大国際マンガ研究センターの伊藤遊特任准教授は「二〇〇〇年代以降、地方を『ご当地』とポジティブに捉える雰囲気が広がり、ディス(否定)をギャグとして受け入れる前提も共有されてきた」と見る。「翔んで埼玉」も一九八〇年代に発表されたが、二〇一〇年代になって注目された。悪評のようなネタでも「攻撃ではなく、根底に作者の敬意や自慢がある」ことで、読者に伝わりやすいのではと分析した。
おすすめ情報

社会の新着

記事一覧