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新経済枠組み ブロック化は避けねば

2022年5月28日 05時05分 (5月28日 05時05分更新)
 日米などが参加する「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が発足した=写真、AP。米国主導の枠組みで対中包囲網の一環との性格が目立つ。ブロック経済の温床とならぬよう注意を払う必要がある。
 IPEFは先の日米首脳会談に合わせバイデン大統領が立ち上げを発表した。参加メンバーはインドや韓国、オーストラリア、東南アジア諸国なども含め十三カ国となる。参加国だけで世界の国内総生産(GDP)の約40%を占める巨大貿易圏といえる。
 ただ規模の大きさとは裏腹に経済効果は見えにくい。半導体を軸とした供給網の構築や脱炭素問題などでの協力をうたってはいるが、具体案は煮詰まっていない。
 さらに経済枠組みでは必須といえる関税引き下げは議題としない。このため、関税交渉が軸の環太平洋連携協定(TPP)や、地域的な包括的経済連携(RCEP)とは異なる「緩い経済連携」に当面、とどまるだろう。
 トランプ政権時代にTPPを離脱した米国は、中国が影響力を持つRCEPに対抗しうる経済枠組みに入っていなかった。今回、IPEFの立ち上げを主導した背景に中国への対抗意識があったことは間違いない。
 だがIPEF参加国の中国との距離感はそれぞれ大きく違う。日本はさまざまな摩擦を抱えながらも二〇〇七年以降、最大の貿易相手国だ。東南アジアの多くの国は依然経済的な依存を強める一方、インドやオーストラリアは緊張関係にある。
 米国が自己都合で中国排除の姿勢を鮮明にすれば参加各国の警戒心を招き、枠組みは機能しなくなるのではないか。
 特定の国を意図的に外した貿易体制は経済のブロック化に直結する。ブロック経済が過度な外交的緊張を生み、戦争さえ誘発しかねないことを世界は学んでいる。
 IPEFを経済協力の場として有効に活用するなら、中国参加も視野に入れた包摂型の枠組みとすべきだ。米中と深い関わりを持つ日本が外交的な橋渡し役を担うことも強く期待したい。  

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