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ベテランが苦しむ姿に“14年前の記憶”…立浪監督の腹案にあった『福留兼任コーチ』見送りの英断は自分の経験から

2022年5月27日 10時51分

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6回裏2死二塁、代打福留が右翼線に適時二塁打を放つ=26日

6回裏2死二塁、代打福留が右翼線に適時二塁打を放つ=26日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇26日 中日6-3西武(バンテリンドームナゴヤ)
 6回、2死二塁。獅子にとどめを刺す打球が、右翼線で弾んだ。ゆっくりと二塁に立ち、両手をたたく。代走と交代した福留を、ベンチはハイタッチで出迎えた。
 45歳1カ月での二塁打は、セ・リーグ最年長記録を更新した。ただし、自己ワースト(2000年、32打席)に迫る26打席も擁した今季初安打。大ベテランの代打の切り札が、苦しむ姿になぜか既視感があったが、その理由はすぐに思い出せた。08年5月8日。立浪和義は実に20度目の代打起用で、ようやくシーズン初安打を打った。
 「ウチのチームに欠かせない選手は外さないよ。本人が音を上げるまで使うさ」。当時の落合監督の言葉である。14年がたち、今度は立浪監督が福留を使う。
 「最後よく粘って一本出たんで、いい形になってくれればなと」
 結果が伴わないベテランの起用は、風当たりが強い。それでも変わらず福留を打席に送り続けたのは決して温情ではない。技術と経験がモノを言う役目だと、知っている人間だからこその起用なのだ。
 重なる14年前の立浪と今の福留には、大きな違いがある。それは当時の立浪が兼任コーチ初年度だったこと。実は立浪監督の腹案にも「福留兼任コーチ」があった。迷った末に見送った理由は「やはり負担が大きいでしょ」。肩書がつけば責任も伴う。若手の早出や居残りに付き合っては、準備がおろそかになる。生きたのは自分の経験。福留の苦しみを本当に理解できるのは、立浪監督だけ。そして福留は日々の備えを怠ることなく続けてきた。
 「ずっと我慢して使っていただいた。だからどういう状況でも自分のやってきたことを信じて、やるべきことをやろうと。そうじゃない姿を、若い選手に見せたくなかったので」
 後進に何かを伝えるのに、肩書は必要ない。兼任案を見送った立浪監督の決断の正しさは、福留のこの言葉にも表れている。

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