タイガー・ウッズがいなくなり火が消えた全米プロ選手権 全英OPでの驚異の回復に期待【武川玲子コラム】
2022年5月24日 17時49分
タイガー・ウッズ(米国)の姿が消えた最終日の早朝、コースは前日までとはまるで違う空気をまとっていた。男子メジャー2戦目の全米プロ選手権。ウッズがいるだけで大観客が所狭しと大移動し、プレーに一喜一憂しては大歓声を上げていたから、どこか火が消えたような寂しさだった。
右脚に重傷を負った昨年2月の自動車事故から奇跡の復帰を果たしたウッズは、マスターズ・トーナメントに続き決勝ラウンドへと進んだ。「予選通過を果たせば優勝争いのチャンスはある」とウッズらしく強気で3日目を迎えたが、不幸にも天候は味方してくれなかった。
2日目まで気温は30度を超え、湿度の高さで汗だくだったが、3日目の朝は10度まで気温が下がり、冷たい雨も降った。今のウッズにとって寒さは大敵。右脚だけでなく腰痛にも響き、何度も苦痛の表情を見せた。79と今大会のワーストを記録し、棄権を決断した。予選を同組でプレーしたロリー・マキロイ(英国)は予選通過の粘りに「僕ならとっくに棄権している」と敬意を表した。それほど脚の状態は良くなかった。
問題はこれから。次戦と目されていたのは全米オープン選手権(6月16日開幕・米マサチューセッツ州)。6月は暑い日が続くことが多い。しかも、マスターズのオーガスタナショナルGC、全米プロのサザンヒルズCCと比べたら、コースのアップダウンはない。ただし、あと3週間ではあまりにも時間が短すぎるとみるのが妥当だろう。
残るは全英オープン(7月14日開幕)。「セントアンドルーズは大好きなコース。ここには戻りたい」とマスターズ後にいち早く出場を表明した。コースは平らなリンクスだから、悪天候でなければ最適だろう。親友の一人、ジャスティン・トーマス(米国)の優勝を自宅で見届け「おめでとう。最後まで素晴らしい戦いだった。僕もいい1週間だった」とツイート。脚は氷水につけられていたに違いない。全英まで8週間。再び驚異の回復を期待している。(全米ゴルフ記者協会会員)
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