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ますもと酒店 升本侑太さん(37) 個性光る酒 消費者へ

2022年5月24日 05時05分 (5月24日 10時52分更新)
老舗酒店の4代目として奮闘する升本侑太さん=石川県志賀町で

老舗酒店の4代目として奮闘する升本侑太さん=石川県志賀町で

 二〇一一年の東日本大震災を機に東京から石川県志賀町にUターンした。昨年二月に実家のますもと酒店の四代目を継ぎ、飲食店への卸しや商品の仕入れなどで多忙な毎日を送る。ところがコロナ禍で取引先の飲食業が大きく落ち込み、祭りも中止。アルコール類の需要が減り、業界に暗い影を落としている。厳しい状況下だが「作り手の思いをしっかりと伝え、お客さんとの架け橋になれる酒屋になりたい」と活路を模索する。
 県内の大学を卒業後、大手ビールメーカーに就職。がむしゃらに取引先へ営業に走り回った。元々、アルコールに強い体質ではないが「会社に入ってお酒の楽しさやおいしさに気付かされた」。酒を通じた多世代とのコミュニケーション、種類豊富な味わいを選ぶ楽しさのとりこになった。
 震災直後は首都圏で実施された計画停電の地域に住んでいた。「心の豊かさを求め、子育てをするなら環境は地元の方がいい」。社会の混乱の中で都市部で働く生活に不安を感じたが、今は「酒のことを学べた会社員時代が良い経験になった」と振り返る。
 「地元に根差した酒蔵が多いので、その土地の酒を楽しんでほしい」。店では、能登を中心に県内の日本酒を多数取りそろえる。酒屋でなくても酒が手軽に買える時代だが、「若い人がお酒を飲まなくなっている」と酒離れを嘆く。「まずはビールが入り口になれば」。酒に親しんでもらおうと、シンプルな白色や漢字一文字など都会的で洗練されたデザインが目を引くクラフトビールの品ぞろえに力を入れている。
 夏ミカンやパンの耳など、原料や製造工程もひと味違う国内外のクラフトビールが約四十種。気に入った商品を作り手から直接買い付けるこだわりで、商品に関連するTシャツなどのグッズも販売する。値段は比較的高めだが、コロナ禍でアウトドアブームも後押しし、近くのキャンプ場の利用客が買い求めるなど需要の高まりを感じている。
 年明けから月一度、県内の飲食店などとコラボし、チーズや焼き菓子など食材に合う酒をセットで販売するイベントも始めた。交流サイト(SNS)でも積極的に商品を紹介する。「酒は地域性もさることながら小さな作り手の個性が光る。魂のこもった酒を手に取ってもらいたい」(大野沙羅)

【会社メモ】1917年創業。運営会社「ますもと商店」はコンビニ事業も手掛けていたが、昨年2月に設立した株式会社「升々」に酒店事業を移管し、升本侑太さんが代表取締役に就いた。石川県内各地の地酒や国内外の自然派ワイン、ウイスキー、クラフトビールなどを取りそろえる。従業員5人。同県志賀町高浜町ツ82の5。


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