<食卓ものがたり>深みある味で町おこし 各務原キムチ(岐阜県各務原市)
2022年5月23日 10時18分 (5月23日 11時02分更新)
日本でもすっかり定着した韓国の国民食、キムチ。「作り方ってあまり知らないでしょう?」。岐阜県各務原(かかみがはら)市の焼き肉店「大翔」の大将、吉田佳弘さん(64)が見せてくれたのは、多種多様な材料だ。
大量の真っ赤な唐辛子にニンジンやダイコン、ネギ、タマネギ、オキアミの塩辛、果物のピューレ、ショウガ、ニンニクなどがずらり。それにイワシと昆布のだしを加えて混ぜると、おけの中は鮮やかなオレンジ色に染まり、おなじみのキムチの香りがふんわりと漂った。深みのある味を生み出すキムチペースト、ヤンニョムの完成だ。
塩漬けして水を抜いたハクサイにヤンニョムを塗ったら、並べて寝かせる。今の季節なら常温で一日、さらに冷蔵庫で二、三日置けば食べられる。「うちのキムチは自然の素材を使っている。肉の邪魔をしないよう、優しい味付けです」と吉田さんは目を細める。
同市は二〇〇三年、大ヒットドラマ「冬のソナタ」の舞台となった韓国・春川(チュンチョン)市との姉妹都市交流をスタート。翌年の関連イベントには、多くの人が訪れた。その勢いを食べ物を通じた町おこしに生かそうと考えたのが、キムチ作りだ。
市や飲食店、加工業者、栄養...
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