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農業用水を近く試験通水 明治用水漏水、月内の供給再開目指す

2022年5月23日 05時05分 (5月23日 08時42分更新)

農業用水を確保するため猿渡川で始まった取水作業=22日午後、愛知県豊田市で(森研人撮影)

 愛知県の矢作川から農業用水や工業用水を取水する堰(せき)の施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」(同県豊田市)で大規模な漏水が起きている問題で、東海農政局の小林勝利局長は二十二日の記者会見で、供給が止まっている農業用水について、五月中の供給再開に向けて本格的な準備作業に入ったと発表した。近日中に、一部の地域で試験的に農地まで水を通す計画も明らかにした。
 試験的な通水がどこで実施されるかは、用水を管理する土地改良区が判断するという。
 農政局によると、頭首工付近の仮設ポンプ設置台数は、二十二日の作業が完了すれば、前日から二十八台増の百九台となる見通し。百九台がフル稼働すると、毎秒六・八六立方メートルの水をくみ上げることが可能。農業と工業合わせて最低限の必要量とされる毎秒八立方メートルに近づいている。ポンプはさらに追加できるめどがあるという。
 これに加え、愛知県が管理する猿渡(さわたり)川でも二十二日、明治用水へのポンプによる取水が始まった。矢作川近くの大谷川でも用水にくみ上げをしている。
 くみ上げ量の増加に伴い、農政局は用水の本線部分で水位が上がり始めたことを確認。二十一日からは、本線から枝分かれして埋設されたパイプラインに、上流から順番に弁を開けて水を流していく作業に取り掛かっている。
 一方で、堰の底部に穴が開いて起きている漏水について、穴をふさぐ根本的な修繕策のめどは立っていないという。

地中のパイプライン「満水」 確認が必要

 近日中の農業用水供給再開に向け本格的な準備作業が進む明治用水。水をスムーズにくまなく送水するために欠かせないのが、地中に埋まった用水路の「パイプライン」を満水状態にすることだ。
 東海農政局によると、明治用水は頭首工の取水口を起点に下流まで、総延長千四百三十キロで、安城浄水場までは一六・五キロある。水路が網目状につながっており、現在八割以上がパイプラインとして地中に埋められている。
 用水を管理する土地改良区によると、用水路ではポンプを使わず、主に高低差による水圧(自然圧)で水が送られるため、パイプラインの管に余分な空気が入らず、常に水が満ちた状態であることが必要。頭首工など上流からの水の供給が少ないうちに、途中で給水栓を開けてしまうと、すぐに管から水が抜け、水を送れなくなってしまう可能性があるという。
 農政局は、パイプラインが満水になっているかを全て確認した上で一部の農地で試験的に給水を開始し、その後、五月中には全面再開を目指す。
 二十一日から上流から順次バルブを開けて点検を始め、二、三日中には下流まで点検を終わらせたい考えだ。
 小林勝利局長は二十二日の記者会見で「(給水は)最初は試験的に一部の地域で行われると想定しているが、近日中に農家のほ場に水が入る」として、「申し訳ないが、もう少しお待ちください」と呼び掛けた。
 (服部桃、中山梓、梅田歳晴)

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