キャンプでは共演者作りカムフラージュ…『根尾投手計画』は秘密裏に進められていた 落合ヘッドが見た突出した才能
2022年5月22日 09時08分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇21日 広島10-1中日(マツダ)
惨敗をもみ消すための余興ではない。大リーグでよくある、投手の浪費を防ぐため、野手なら誰でも良かったわけでもない。将来の二刀流を念頭に置いたテストマウンドである。
プロジェクトが始動したのは北谷キャンプ中の2月23日。根尾に投手もさせたいと発案したのは立浪監督だった。打診された落合ヘッド兼投手コーチは、ひとつだけ条件をつけた。「石川(昂)、岡林、鵜飼もお願いします」。高校では実績はあっても、プロでは未知数。即日、不合格にする可能性もあり、騒ぎを大きくしたくない。だから、最初からカムフラージュのために3人を共演させた。あの日の最速は岡林の145キロ。根尾は144キロ。ただし、本職の目が見た才能は根尾が突出していた。
「4人の中で、一番ボールを長く持てましたから。岡林は野手投げでしたが、根尾には間(ま)があった。下半身を投手のような使い方ができるからです」
投球にも打者のスイングにも共通するのが「1、2、3」よりも「1、2の3」。この「の」をつくれるのが本職の150キロで、つくれないのが野手の150キロ。根尾にはあった。あの日からプロジェクトは本格的に、なおかつ極力こっそりと進行した。3月はブルペンが無人になるタイミングを見計らって、投球練習を続けた。開幕後は総力戦でスタンバイ。2軍でデビューし、ついにこの日を迎えた。
「肩が強いのも根尾の魅力です」と落合ヘッドは言う。これは遠投能力を指しているのではなく、耐久性の話である。
「(野手として)守備やキャッチボールを投げっぱなしにやっても、ポンと(マウンドに)いける。5球あればいけるので、守備から登板も可能です」
もちろんフィジカルで問題ないから、能力もあるとは限らない。プロは厳しい。そもそも長い方の刀(野手)で伸び悩んでいるのが現実だ。ただし、可能性は見せた。遊撃手、外野手、そして投手。彼が生きる道は、確かに広がった。
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