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冤罪生んだ異常捜査 元検事の市川弁護士が自身体験赤裸々に

2022年5月22日 05時05分 (5月22日 05時07分更新)
検察官時代を振り返る市川寛さん=浜松市中区の浜松復興記念館で

検察官時代を振り返る市川寛さん=浜松市中区の浜松復興記念館で

 元検察官で弁護士の市川寛さん(56)=東京=が二十一日、浜松市中区の浜松復興記念館であった「袴田事件がわかる会」で講演した。佐賀地検で在職中に、担当した佐賀市農協背任事件で冤罪(えんざい)を作り出した自身の反省を踏まえ、検察組織の体質を赤裸々に語った。 (岸友里)
 市川さんは、二〇〇〇、〇一年に佐賀地検の三席検事として、農協幹部らによる背任事件を担当。自白に追い込むため、取り調べの際に暴言を吐いたことを法廷で証言し、最終的に被告人は無罪となった。
 講演会で、事件を振り返った市川さんは、当時、現場の検事は捜査の不十分さを分かっていながらも、有罪を確信している上司との間で板挟みになっていたことに言及。「検察官にとって最もプレッシャーがかかるのは起訴をするかしないかの判断で、120%有罪という証拠が集まっていないと起訴しない。これが建前だが、複数の検察官が起訴にかじを切るとチェックする人がいなくなる。異常な捜査だった」と話した。
 一九六六年に旧清水市(静岡市清水区)で一家四人が殺害された強盗殺人事件で、袴田巌さん(86)の死刑が確定し再審請求中であることに触れ、「今、全国の検事に袴田事件について聞けば、みんな起訴できないと言うと思う。なぜなら今は、違法な取り調べによる自白は認めないというスタイルになっている。昔の事件を、新しい目で見直してみなさいというのが再審の精神だと思う」と語った。
 袴田事件がわかる会は、支援者でつくる「袴田さん支援クラブ」が月一回、浜松復興記念館で開いている。入場無料で、次回は六月十八日午後一時半から、共同通信編集委員の佐藤大介さんが講演する。

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