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肩を痛めた仏教大・大野雄大 ケガは本当なのか、他球団の「ブラフ」なのか、治るのか…困難極める調査【中田宗男のスカウト虚々】

2022年5月20日 06時00分

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記念撮影で、間違えて帽子をかぶってしまった母早苗さんに抱きつかれ苦笑いの大野雄大(中)。右は中田スカウト部長

記念撮影で、間違えて帽子をかぶってしまった母早苗さんに抱きつかれ苦笑いの大野雄大(中)。右は中田スカウト部長

◇中田宗男の「スカウト虚々実々」
 スカウトの世界には表があれば裏もある。その情報は虚か、はたまた実か。元中日の中田宗男さん(65)が、38年のスカウト人生を振り返る。今回は史上最長の完全投球をやってのけた、大野雄大投手(33)を単独指名した2010年ドラフトを回顧する。
   ◇
 6日の阪神戦(バンテリンドーム)は私もテレビで見ていました。勝っても負けても1―0。序盤に予測した通りになりましたが、あの日の大野は久々に打者が振り遅れていました。あれぞ、スカウトとしてほれ込んだ大野の投球でした。
 初めて見たのは仏教大4年春のリーグ戦。6月の大学選手権では、東北福祉大を2安打完封しました。当時スカウト部長だった私は、この頃には「1位は大野でいきたい」と考えていましたが、集大成の秋のリーグ戦は登板回避。左肩を痛めたという情報が入ってきました。
 このコーナーの読者ならもうおわかりかと思いますが、こういう時のスカウトはまず疑います。当時は大石達也、斎藤佑樹(いずれも早大)、沢村拓一(中大)など右投手は多士済々。大野との両どりをもくろむ球団が裏で糸を引き、故障を偽装しているのでは…。次に知りたいのは「治るのか」。真偽を確かめる調査活動は、困難を極めます。そんなミッションを見事にやり遂げてくれたのが、担当の米村明(現シニアディレクター)でした。徹底して調べ「故障は本当だが、手術は不要。1年間トレーニングすれば問題ない」と結論づけたのです。この報告の正しさは、入団後の軌跡で証明されています。
 しかし、1位・大野の正式決定はまだ先です。故障を承知で行く以上、単独指名は絶対条件。そのためには他球団を欺かねばなりません。巨人を熱望していた沢村の視察をあえて継続し「ドラゴンズは降りない」姿勢を、ドラフト当日まで続けたのです。
 当時は左投手が補強ポイントだったこともありますが、故障だと聞いても諦められない魅力が大野にはありました。打者の懐に投げ込む姿、力で牛耳るところが最大の魅力。米村のすばらしい調査活動だけでなく、落合博満監督が「1年待てばいいんだろ?」とリハビリを快諾してくれたことも大きかった。
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