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オシムさんの言葉通り「リスクを負わない者は勝利を手にできない」サポーターの熱狂が示した“浦和かくあるべし”

2022年5月19日 10時30分

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浦和―横浜M 試合後、サポーターにあいさつする浦和イレブン

浦和―横浜M 試合後、サポーターにあいさつする浦和イレブン

◇18日 J1第11節 浦和3-3横浜M(埼玉スタジアム)
 結局は3―3の引き分けに終わった。しかし、18日に行われた横浜Mとのゲームは、浦和が見せてくれた今季最高にエキサイティングでスリリングな戦いだった。
 前半は最悪の展開だった。左サイドの宮市を軸にした速攻に対応できず、あっという間の3失点。ホームで手も足も出ない完敗を予感させた。ところが、後半になってガラッと雰囲気が変わった。開き直り。0―3になってしまったら、もはや失うものはない。立ち上がりから、前線のユンカーに向かって強い縦パスを入れ始めた。
 後半2分、岩波からのロングパスで相手DFラインの裏に抜け出したユンカーがゴール。縦パス1本で1点を返した。さらに後半36分、岩尾が前線の松尾にロングパス。松尾が触ったボールがユンカーにわたり、そのまま抜け出してゴール。そして後半44分、左サイドの大久保が強引にドリブル突破して最後はユンカーが決めた。3点とも、シンプルにして美しいゴールだった。
 ハットトリックのユンカーは試合後、この戦いをこう振り返った。「前半はよくなかった。しかし、後半は、こうであるべきだという姿を見せることができた。今後もこのスタイルを見せることができれば、どのチームに対して勝つことができる」
 そしてリカルドロドリゲス監督は「リスクがある戦いだったが、選手たちがピッチの中で出し尽くしてくれた。勇敢にやり続け、前からプレッシングをかけ、早い時間帯に1点を返して流れが変わった。勇敢にやり続けることだ」
 浦和に足りなかったもの。それこそがリスクを冒して勇敢に攻めること。前節まで11得点10失点。失点は少ないが、得点も少ない。ボールを大事にするポゼッションサッカーゆえに、支配率は高くても、点が取れない。磐田に4―1で大勝して以来、この日で6試合連続ドロー。しかし、この日のドローは中身が違う。それまでの5試合は1―1が2試合、0―0が3試合とまどろっこしい試合が続いたが、この日の引き分けに関しては、文句なしに2万人近い浦和サポーターが熱狂した。
 ただ、前半はいままでどおりのまどろっこしい試合。ポゼッションを意識するあまり、ボールが前に進まない。ボールを回しているうちに横浜Mのプレッシングに引っ掛かり、縦に速い攻撃に対応できず、失点を重ねた。前半で0―3。こうなったら、いくしかない。その状況が、浦和の選手たちに手数をかけない破壊力満点のカウンターアタックを思い出させた。
 これぞサッカーの醍醐味(だいごみ)。「リスクを負わない者は勝利を手にすることができない」。これは5月1日に亡くなったイビチャ・オシムさんの言葉だ。リスクを負うからこそ、サッカーはおもしろい。
 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。
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