本文へ移動

安全願い山の天気教室10年 「西穂山荘の予報士」名古屋で6月開催

2022年5月18日 16時00分 (5月18日 16時23分更新)
「山の天気」の教室を3年ぶりに開く粟沢徹さん。毎日空の様子を観察している=長野県松本市で

「山の天気」の教室を3年ぶりに開く粟沢徹さん。毎日空の様子を観察している=長野県松本市で

 北アルプスの主な稜線(りょうせん)上で唯一、年中無休で営業している西穂高岳の山小屋「西穂山荘」(標高二、三六七メートル、岐阜県高山市)の支配人で、気象予報士の資格を持つ粟沢徹さん(59)が、登山者らに「山の天気」を解説する教室を開いて今年で十年目を迎える。“日本で最も高い場所で働く気象予報士”として「気象による遭難を防ぎたい」との使命感を胸に、新型コロナウイルス禍のため三年ぶりとなる教室を六月に名古屋市などで開く。(八重樫智)
 長野県松本市出身の粟沢さんは、信州大経済学部を卒業後はプロボクサーになろうと格闘技に打ち込んだり、会社に勤めたりするなど、山とは無縁だった。結婚相手が同山荘経営者の娘だった縁で、一九九二年から山小屋で働き始めた。
 山荘で知ったのは、周辺の北アルプスでは、霧や吹雪、強風などの気象が原因で多くの事故が起きていること。二〇〇七年ごろ、「『遭難を防ぐために、気象を勉強しなければならないのでは』と感じた」ため気象予報士を志した。山荘の仕事をこなしながら勉強に励み、三年間の努力の末に一〇年に合格した。
 気象予報士となってからは、山荘の食堂などで登山者らに翌日の天気を伝え始めた。霧の出やすい時間帯や風速など安全に欠かせない情報を分かりやすく説明。登山者からは「詳しく天気が分かるので、とても参考になる」と好評を得た。
 一三年からは、名古屋や東京、大阪などの都市部で本格的な気象教室を開催。念頭に置くのは、一九六七年に山荘近くの西穂高岳・独標(どっぴょう)(標高二、七〇一メートル)で起きた事故だ。集団登山中の高校生ら計四十六人が落雷に遭い、生徒十一人が死亡、教諭を含む十三人がけがをした。粟沢さんは「このような気象による遭難を減らしたい」と願う。
 教室は夏の登山シーズンの本格化前に開き、粟沢さんは天気の見通しの判断の仕方などを解説してきた。「独標では突然、雲ができて五分後には周囲が真っ白になることもある」などと、雲ができる仕組みや気象の変化のしやすさも紹介。登山の安全性を高めるためにも「山の天気に興味を持ってもらいたい」と望む。
 コロナ禍で過去二年中止となった教室は、三年ぶりの開催。粟沢さんは「山小屋で働く気象予報士だからこそ伝えられる『山の天気』を、楽しみながら学んでもらえれば」と参加を呼び掛けている。
 今年の教室は六月四〜二十六日に大阪、東京、名古屋で開く。名古屋会場(名古屋市東区東桜のWA東桜)は同二十五日午後二時から「基本編」、翌二十六日午後二時から「実践編」を催す。受講料は四千五百円。専用サイトから申し込む。

関連キーワード

おすすめ情報

社会の新着

記事一覧