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【石川】珠洲で住宅全焼 1遺体 独居の86歳住人男性か 燃え尽きるまで誰も気付かず 

2022年5月17日 05時05分 (5月17日 11時04分更新)
木造2階建て住宅が燃え尽き1人の遺体が見つかった火災現場=16日午前11時3分、石川県珠洲市東山中町で

木造2階建て住宅が燃え尽き1人の遺体が見つかった火災現場=16日午前11時3分、石川県珠洲市東山中町で

  • 木造2階建て住宅が燃え尽き1人の遺体が見つかった火災現場=16日午前11時3分、石川県珠洲市東山中町で

 山の一軒家 火災発見困難 

 十六日午前六時四十分ごろ、石川県珠洲市東山中町で、無職下仁栄(しもじんえい)さん(86)の木造二階建て住宅が燃え落ちているのを、通り掛かった町内の四十代男性が気付き一一九番した。焼け跡の一階台所付近から、性別不明の遺体が見つかった。珠洲署によると、一人暮らしの下さんと連絡が取れておらず、遺体は下さんの可能性が高いとみて身元を確認している。
 現場は能登半島先端の禄剛崎(ろっこうさき)から六キロほど南西の山間地で、周囲に民家など建物はない。いつ出火したのか特定できておらず、出火原因も分かっていない。署は十七日午前九時ごろから消防と実況見分する。
 通報した男性は、新聞配達中に煙が出ていることに気付き、近くまで行って家が焼け落ちていることに気付いた。男性は「(下さんは)一人暮らしで足も悪い。集落のみんなも心配して、ことあるごとに気に掛けていたのだが」と無念の表情で語った。気付いた時点で住宅は燃え落ちていたが、火はくすぶっており、消防車両六台が消火。午前十時二十分ごろに鎮火した。
 奥能登広域圏事務組合消防本部の担当者は、一般論として二階建ての民家が全焼するまでには「耐火構造であるかをはじめ、中にあるものにもよるが、火が最盛期に達すれば早ければ数十分で燃え尽きることもあるし、数時間かかることもある」と語った。

 過疎地見守り限界

 珠洲市内で起きた火事は住宅が燃え尽きるまでだれにも発見されないまま。高齢者一人が過疎地で暮らす課題が浮かび上がった。
 高知県仁淀川町(によどがわちょう)(二日現在人口四千八百八十九人)では昨年二月、住宅が全焼し高齢男性一人が亡くなったが、燃え落ちるまで発見されなかった。原因は明確でないが、ストーブの上でものを温めていたとの証言もあり、町は、火を使わない調理器具やエアコンに対し火災対策として補助することを検討している。
 消防庁消防・救急課の担当者は「ぽつんと一軒家がある所に対策をしているかというと、特別あるわけではない」と悩ましげ。「自主防災組織に気付いてもらうしかない。地域連携が大切になる」と話す。
 石川県消防保安課の担当者は「住宅用火災警報器の設置をキャンペーンで広く勧めている。そうしたもので対応するしかないのでは」と指摘する。住宅用火災警報器は二〇〇六年から新築住宅で義務づけられている。既存住宅は一一年から義務化されたが、罰則規定はない。
 住民らは不安を募らせる。珠洲市大谷町で一人暮らしの七十代女性は「火災や水害が怖い。周りも一人暮らしが多く火が出れば対応できない。山の下にある家で寒いので今も石油ストーブを使うが、火元には注意している」と語る。
 穴水町で三軒ほどの集落に暮らす男性(77)は「寝ている時に火災が起きたらどうにもならない」。火災報知機を付け、火の始末に気を付けるが「何か起きた時の連絡手段を決めておくしかない。異変を教えてくれるシステムがあればいいが」と話した。
 輪島市福祉課地域包括支援センターでは、独居や障害のある高齢者らをまとめているが、個別の生活状況を全て把握することはできず民生委員らと協力し情報収集している。担当者は「市の配食サービスを通して見守ることもあるが、二十四時間見続けることはできない」と打ち明ける。
 隣の穴水町も職員や民生委員が独居高齢者を見回る。町によると、二〜四軒ほど固まっている集落が多く、隣家と離れた一軒家はほとんどない。町の担当者は「石油ストーブを使う高齢者は多く、火の取り扱いに気を付けるよう周知徹底するしかない」と強調した。 (上井啓太郎、日暮大輔、森本尚平)

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