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若狭描いた布絵の美術館 渡辺さん 「作家人生の集大成」 美浜に開館

2022年5月17日 05時05分 (5月17日 10時08分更新)
地元の早瀬地区の風景を布絵に描いている渡辺さん=美浜町早瀬の「渡辺弘子布絵ミュージアム」で

地元の早瀬地区の風景を布絵に描いている渡辺さん=美浜町早瀬の「渡辺弘子布絵ミュージアム」で


 美浜町の布絵作家渡辺弘子さん(78)の作品を集めた美術館「渡辺弘子布絵ミュージアム」が十日、同町早瀬に開館した。古布などの布絵で若狭地方の暮らしや祭りなどを描き、温かく繊細な布絵は国内外で広く評価されている。渡辺さんは「作家人生の集大成。布絵に描かれた懐かしい風景を楽しんでほしい」と話している。 (林侑太郎)
 館内は二つの展示室に計三十五点を展示。使われなくなった漁網を布地に縫い合わせて若狭湾の勇壮な定置網漁を表現した代表作「歓(よろこ)び」や、地区を流れる早瀬川沿いののどかな春を細やかな布を組み合わせて描いた「早瀬川の春」など力作が並ぶ。
 布地から弓矢が大きく飛び出した「浜祭り」、多様な柄の着物が見本帳のように並ぶ「紺絣(こんがすり)さまざま」も目を引く。
 手芸が趣味だった渡辺さんが布絵作りを始めたのは一九八九年ごろ。テレビで布絵作品を見たのがきっかけで、両親の介護などの合間に屋根裏部屋で縫ったり、貼ったりして独学でこつこつ作り上げてきた。作品に使う古布のほとんどは友人や地区の住民などから寄贈されたもの。古布に詰まった思い出を大切にしたいとの思いから、着色など加工は少なめにして、布本来の味を生かしている。
 生まれ育った早瀬地区は五〇年代ごろまで漁師町としてにぎわい、夜には旅館から三味線の音が鳴りやまなかったという。「古き良き早瀬を布絵の中に残したい」との思いから創作を続けており、これまでに個展を東京や広島など国内各地で開催。二〇一四年にはフランスの作品展にも出展した。
 美術館は、渡辺さんの作品に感銘を受けた若狭美浜観光協会の職員が中心となって整備。建物は渡辺さん宅の使われなくなった離れを活用した。クラウドファンディング(CF)などで資金を募り、昨年九月から約百五十万円かけて照明などを整備した。
 入館は完全予約制で、同観光協会=0770(32)0222=が受け付けている。開館は平日の午前九〜午後四時半。入館料は高校生以上三百円。

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