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<Meet STEAM>  記憶定着アプリ開発 「モノグサ」最高技術責任者 畔柳圭佑さん

2022年5月16日 11時50分 (5月30日 16時39分更新)
 英単語や漢字などが覚えられない経験はありませんか。「暗記への苦手意識から勉強嫌いになるのはもったいない」。その思いから「記憶定着」の視点でアプリを開発したのが「モノグサ」最高技術責任者(CTO)の畔柳圭佑さん(34)。インターネットで簡単に調べられる時代でも、記憶は大切だと考えています。(聞き手・加藤祥子)

 くろやなぎ・けいすけ 1988年、愛知県岡崎市生まれ。東京大大学院情報理工学系研究科の修士課程修了。2013年にグーグルに入社し、ソフトウエアキーボードの開発などを担当した。16年に竹内孝太朗さんと記憶定着アプリ開発の企業「モノグサ」を共同で創業。22年、「記憶はスキル」を出版。

 

―なぜ記憶に注目したのですか。

 高校の同級生、竹内孝太朗・現最高経営責任者(CEO)から、十年ほど前に「英単語帳のアプリを作りたい」と相談されました。世の中にある英単語帳は覚える単語をまとめたものばかり。使う人が本当に求める「記憶すること」に応えられていないと考え、特化したアプリを二〇一七年に開発しました。

―記憶を定着させる工夫とは。

 アプリでは、英単語や漢字などが一問一答形式で出題されます。個人の端末で回答の履歴を管理し、覚えられていないものは高頻度で、ある程度覚えられたものは数日おいて出てくるようにしました。分散させて何度も問題を解くと記憶しやすいという研究結果があるからです。他にも、英単語の問題では選択式に交じって入力式も登場します。覚えていない段階では、端末の画面にはアルファベット二十六字すべてではなく、数を減らして表示します。ヒントから能動的に答えを導き出すことが、長期的な記憶に有効なのです。

記憶定着のためのアプリ。有効なアルファベットをヒントに答えを導き出せるようにしている

 こういった記憶や人工知能(AI)に関する研究論文を、この十年で千本ほど、精読しました。「なるほど」と思う研究結果が、世の中で生かされていません。それらをアプリ開発に生かしました。今でも社内で「論文読み会」を開いています。

―畔柳さんは、暗記は得意でしたか。

 苦手でした。特に英単語は一つ覚えるのも嫌で、諦めていました。好きな数学の公式のように英単語が覚えられたらもっと英語が得意になっていたかも。
 記憶することが苦痛で、その教科に関心を持たなくなるのはもったいない。自分が経験したからこそ、その課題を解決したいとも思いました。苦手でなくなれば、どんなジャンルにも関心を持ち、知見を広げられると思っています。

―インターネットなどで調べればすぐに分かる時代に、記憶はなぜ大切なのでしょう。


 
 例えばロシアのウクライナ侵攻も、これまでの両国の情勢を知っていれば現状を理解しやすい。他の欧州の国はどういうスタンスなのか、エネルギーや小麦への影響なども考えることができ、将来の予測にもつながります。記憶しているからこそ、その記憶に近い領域を調べることができ、さらに複雑な問題も理解できます。同じ情報に触れたとしても、自分の中にある情報の量で解像度に差が生まれ、新しいことへの関心度合いも大きく変わると思います。

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