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育成とは痩せ我慢である…マウンドで自らを鼓舞し続けた中日・高橋宏 続投で増えた23球は未来のエースへの投資

2022年5月15日 09時37分

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6回裏、マウンドで高橋宏(左から3人目)に声を掛ける立浪監督(左から5人目)=14日

6回裏、マウンドで高橋宏(左から3人目)に声を掛ける立浪監督(左から5人目)=14日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇14日 巨人7―6中日(東京ドーム)
 最大5点差からの逆転負け。しかも絶対の信頼を寄せる祖父江が崩れるとは…。潮目が変わったのは、2点を返された6回だ。無死から丸、ウォーカー、ポランコに3連打。まだ4点差あったが、高橋宏のストレートはシュート回転が目立ち始めていた。打者は岡本和。僕なら代える。しかし、立浪監督はマウンドへ行き、激励してベンチへ戻った。
 この時点で高橋宏は83球。ここから四球、二飛、空振り三振、四球。押し出しで2点目を与え、106球で降板した。勝つことだけを考えれば、リリーフの負担が少ない岡本和のところでの継投だったとは思う。いや、ここが敗因だとは思わない。そんなことは、僕よりも立浪監督がわかっている。点差があって油断したわけでもない。育成とは痩せ我慢である。勝つために力を振り絞り、アウトを重ねるために神経を削る。彼は何度もマウンドで「攻めろ!」と自分に命じていた。続投で増えた23球こそが、未来のエースへの投資だったと思う。
 「何とか投げ切らせたかった。(マウンドでも)この回までは代えないと奮起を促しました」
 立浪監督はこう言った。継投を預かる落合ヘッド兼投手コーチも「あの回は代えないと2人で決めました」と話した。勝利と育成。どちらかを置き去りにすることはあり得ない。もちろん勝てると思った中での続投であり、継投だった。誤算は7回。少なくとも6回に悔いはない。
 表情から闘争心は消えていなかったが、球は荒れていた。心が体をコントロールできるようになれば、6回など通過点になる。19歳が苦しみながら投げる姿を、ベンチの立浪監督は微動だにせず見ていた。この肝の太さが、人を育てるのだ。負けていい試合などないかもしれないが、僕は未来を見た。あの23球が、彼をエースへと育てる栄養剤になったと言える日がきっと来る。
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