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甲冑に見る工芸の粋 デジタル技術でひもとき展示 金沢21美

2022年5月14日 05時05分 (5月14日 13時48分更新)
「甲冑の解剖術−意匠とエンジニアリングの美学」展示風景 photo by Muryo Homma (Rhizomatiks)=金沢21世紀美術館で(同館提供)

「甲冑の解剖術−意匠とエンジニアリングの美学」展示風景 photo by Muryo Homma (Rhizomatiks)=金沢21世紀美術館で(同館提供)

  • 「甲冑の解剖術−意匠とエンジニアリングの美学」展示風景 photo by Muryo Homma (Rhizomatiks)=金沢21世紀美術館で(同館提供)
  • 「黒漆塗様仙台胴具」(左)(江戸時代、井伊美術館蔵)とライゾマティクス「Displayed Kacchu」(2022年)=金沢21世紀美術館で(同館提供)
 戦国時代の武具であり、武将たちが誉れを象徴した甲冑(かっちゅう)。当時の工芸の技を尽くした文化遺産として紹介するとともに、デジタル技術を駆使して甲冑の装飾性や機能性をひもといたり、スニーカーを「現代の甲冑」に見立てて対比させたりするユニークな展覧会が、金沢21世紀美術館で開かれている。(松岡等)
 「甲冑の解剖術−意匠とエンジニアリングの美学」と題した展覧会で、長谷川祐子館長自らが企画した。甲冑は石川県立歴史博物館や井伊美術館(京都市)、大阪城天守閣から借り受けた。
 美術館中央の円形の展示室では、多様な意匠を凝らした甲冑六体を、通常は見られない背後までじっくり鑑賞できる。前田利家の側近として仕えた村井長頼が使ったと伝えられる甲冑は胴を肋骨(ろっこつ)や乳房を打ち出して模様にしている奇抜さが間近に見て取れる。どの甲冑にも金工、漆、染織、組みひもなど高度な工芸技術が組み合わされていることに驚かされる。
 もう一つの展示室では、仙台藩七代藩主の伊達重村の着用と伝えられる甲冑と、これをコンピューター断層撮影(CT)して得られたデジタルデータを可視化した映像作品をともに展示。ほかにスタイリストの三田真一さんが同じ型のスニーカーのパーツを組み上げて制作した未来的な甲冑や、甲冑の文様や意匠にインスピレーションを得て今回の展示のために3Dプリンターで制作されたオリジナルスニーカーも並ぶ。
 展示空間は、照明や音響、映像などのさまざまなメディアを駆使したインスタレーション作品などで国際的に活躍するアーティストのナイル・ケティングさんが担当した。過去と未来の最先端の装身具をつなげて考えるという企画の意図を踏まえて演出している。
 長谷川館長は、21美の開館二十周年となる二〇二四年に向け、本年度を「歴史、伝統から学び、現在から未来につなげる歴史横断的な視点を重視する年」と位置づけているという。今回はその第一弾の企画で、文化庁などが各地で開く日本博の共同展示にもなっている。七月十日まで。

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