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ウクライナ人が撮った故郷  いまだて芸術館 きょうから写真展  平和な日常紹介 SNS通じ300枚集まる

2022年5月14日 05時05分 (5月14日 11時38分更新)
ロシア侵攻を受ける前のウクライナの日常を紹介する展示=越前市のいまだて芸術館で

ロシア侵攻を受ける前のウクライナの日常を紹介する展示=越前市のいまだて芸術館で

  • ロシア侵攻を受ける前のウクライナの日常を紹介する展示=越前市のいまだて芸術館で
  • Zoomで本紙の取材に応じるユリヤさん
  • ユリヤさんが提供したウクライナの日常を伝える写真
 ロシアの軍事侵攻によって失われてしまったウクライナの日常を伝える写真展が十四日、越前市粟田部町のいまだて芸術館で始まる。「侵攻だけのイメージがついてしまうのはさみしい」との思いで同館が企画。人脈をたどってウクライナ人とつながり、実現に至った。写真展では自然豊かな国で人々が営んでいた平和な日常を紹介する。 (堂下佳鈴)
 「毎日ウクライナの悲惨なニュースが流れるけど、どんな国か全然知らないよね」、「荒れた町並みのイメージだけが刷り込まれるのは怖い」。きっかけは同館の竹沢裕史館長と職員たちとの会話だった。ただウクライナ人とのつながりはなく、写真展を実行する手だてはなかった。
 竹沢館長の友人で同市のミドリ写真館社長、畑勝浩さん(57)に思いを話すと、つながりの糸口が見えた。畑さんのポーランド人の友人がウクライナ人女性と同僚だったのだ。女性に無理を承知で協力を依頼すると、快く受け入れてくれた。
 女性はユリヤ・フィリさん(34)。ウクライナの首都キーウに住んでいたが、三月中旬にポーランド西部の都市、ポズナンに避難した。現在はポズナン国立美術館に勤務している。依頼を受けたユリヤさんは四月中旬、フェイスブックで写真展の趣旨を伝え、ロシアの侵攻前に撮った日常の写真を募った。
 投稿を見たウクライナ人十人から約三百枚の写真が集まった。なかには東京都在住のウクライナ人からの提供もあったという。田舎の地域で馬車に乗る子どもたちや自然の中で楽器を演奏する市民たち、歴史ある建築物や町並みなど、写真はどれも少し前まで当たり前だった光景だ。
 写真展では二つのプロジェクターを使い、スライドショー形式で写真を映し出す。パネル写真やウクライナの伝統を紹介するパネルもある。会場ではウクライナ出身のピアニストの曲などウクライナにまつわる音楽を流す。
 ユリヤさんは本紙の取材に「日本とはすごく距離が離れているので、私たちのことを気に掛けてくれるとは思ってもいなかった。とてもうれしい」と笑顔を見せた。写真展に協力した理由を「兵士として戦ったり、軍隊に食事を提供したりそれぞれができることをやっている。私はソフトパワーで国に貢献したい」と明かした。
 写真は二十日まで受け付けており、六月十二日までの会期中に随時追加する。竹沢館長は「写真を通してウクライナの普段の生活を感じてほしい。多くの人に見てもらいたい」と話した。

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