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非情の原采配も火種とせず美談に…巨人・中田のプロ初犠打に見た“勝利を宿命づけられたジャイアンツの美しき野球”

2022年5月14日 10時30分

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4回、投前に犠打を決める巨人・中田。捕手石橋=13日

4回、投前に犠打を決める巨人・中田。捕手石橋=13日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇13日 巨人5-2中日(東京ドーム)
 2度は追いついたが、3度目はなかった。惜敗。連敗。エクスキューズならある。49日前の開幕オーダーでこの日も名を連ねていた野手は3人(岡林、ビシエド、阿部)しかおらず、巨人には5人いた。故障や不振はもちろん、新型コロナの感染者が数人出ても、待ったなし。それがルールなのだ。
 4回。無死一、二塁。中田の送りバントを見た瞬間、負けられない試合になったと思った。初球を投げる前、大野雄は声を聞いている。
 「中田選手は気付いてなかったようですが(三塁コーチの)元木さんが『おい、翔!』と言ったのが聞こえたので、バントだなと…」
 構えを見て、念のためプレートを外した。仕切り直しの初球をファウル。場内はどよめき、2球目を決めた。
 1521試合、6245打席目の初犠打。命じたのは原監督だ。これが勝利を宿命づけられたジャイアンツの野球だという意思表示。走者は進み、内野ゴロで勝ち越された。それはいい。ただ、中日にとって試合に負ければ、非情のバントが美談になる。勝てば犠牲のプレーは報われず、不満の火種となり得るからだ。
 7回。一走・ウォーカーのスタートに溝脇が釣り出され、ショートゴロのはずの打球がレフト前に転がった。決勝のホームを踏んだ三走は丸。覚えている読者は多いだろう。4月22日に屈辱の重盗を決められたコンビに、またしてもやられた。とどめが8回。中田に左中間スタンドまで飛ばされ、美談は完結した。
 西武・中村、山川、ソフトバンク・柳田、巨人・岡本和。みんな犠打をやっている。ちなみに田淵幸一は1739試合、6875打席犠打なしで終えている。主な現役では中日・福田(782試合)、オリックス・吉田正(679試合)、ヤクルト・村上(448試合)…。命じた原監督も、1697試合で7犠打を決めている。個人よりチーム。記録より勝利。それがジャイアンツ。美しい。だからこそ負けてはいけない試合だった…。

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