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【北の富士コラム】物言いで楽しい相撲を2度も…宇良vs若元春“左四つ対戦”は今後も楽しませてくれる

2022年5月13日 05時00分

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取り直しとなった宇良と若元春の対戦

取り直しとなった宇良と若元春の対戦

◇12日 大相撲夏場所5日目(両国国技館)
 5日目は宇良と若元春の一番が面白かった。この一番は物言いがついて取り直しとなったので、2度も楽しい相撲が見られてお客さんは大喜び。もちろん私も十分に満足でありました。
 最初の相撲は、宇良が頭を低くして何とか潜ろうとしたが、若元春がそれを許さずがっちりと左四つに組み止めた。こうなると若元春の勝ちは決まったようなもの。左差し手を返し、胸を合わせて寄りたてる。
 そのまま土俵を割るかのように思わせた宇良が、柔らかい上体を反らして起死回生のうっちゃりで逆転を図る。並の力士なら後頭部を打って気を失ってもおかしくないところだ。しかし、見事に腹に乗せてうっちゃった。若元春の体が完全に腹に乗っかり、体が割れた。私の目には宇良有利に映ったが、物言いがついて取り直しとなる。スローで見ると、宇良の肘と若元春の右手はほとんど同時。審判部の判定に文句はない。
 取り直しの相撲は、長引いては面倒とばかり宇良がいきなり反り技の奇襲を見せたが、若元春が落ち着いて一気に送り出した。宇良のしぶとさと若元春の本格的な左四つの対戦は、今後も楽しませてくれるだろう。弟の若隆景の陰に隠れて目立つ存在ではなかったが、左四つになると相当に自信を持っているようだ。今後も注目したい力士である。
 さて、弟の若隆景は意外や意外、2勝3敗の成績は期待外れもいいところだ。この日は豊昇龍の注文相撲にまんまとはまってしまったが、初日から立ち合いの踏み込み不足はあったと思われる。これが重圧というのだろう。負けられない意識が体の動きを悪くしていると私は見ている。大関や横綱になった人は必ず通る道である。もっと大胆に立ち合いから攻める気持ちを持つことが肝要だ。守りに回ることなかれ、である。
 それから、勝った豊昇龍にもあえて苦言を呈しておこう。将来を嘱望されている若い有望力士が、立ち合いの変化はいけません。こんな相撲で勝っても何も得るものはない。これは師匠も厳しく指導するべきです。角界の将来を背負う力士が、今から楽をして勝ってほしくない。
 その点、照ノ富士はやはり偉い。いくら体調が不十分でも堂々と受けて相撲を取っているではないか。その照ノ富士だが、どうやら調子が上がってきた。もう大丈夫だろう。それにしても大関陣は弱い。何も言うことなしだ。飯がまずくなる。もうすぐ午後8時である。冷凍のとろろそばがあるので、今夜はそれで我慢しよう。
 番外だが、この日は熱海富士の相撲を見られなかったが、負けたようだ。大関、横綱になったら負けられないが、今は負けを気にすることはない。北の若はだらしのない相撲で負けていた。そろそろ壁にぶち当たる頃である。これからは苦労するぞ。心せよ。
(元横綱)
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