産卵の場 よいカモ 藤江北の民家庭 室外機下に営巣
2022年5月13日 05時05分 (5月13日 10時08分更新)
1カ月ほどでふ化 見守る住人
金沢市の住宅街の一角−。どこからかやって来た一羽のカルガモが、民家の庭で巣をつくり、卵を温め始めた。「ここでふ化して大丈夫なのかしら?」。住人は心配そうに見守っている。 (戎野文菜)
国道8号から五百メートルほど離れた藤江北の住宅街。藤村寿美子さん(75)は四月十七日、庭にある温水器の室外機の下で二つの卵を見つけた。数日後、その上につぶらな瞳のカモが一羽。いつ見に行ってもじっと座り、卵を温めている。
だが今月十二日、卵の上に座っているはずの親ガモが巣の隣に座っていた。そっとのぞくと、枝や羽毛でできた立派な巣の中に卵が十個ほど。「もしかしたら、そろそろふ化するのかも」
藤村さんは不安になった。庭の横には小さな用水があるが、水はほとんど流れていない。近くを流れる新大徳川まで七十五メートルほど。「ひなは歩けるかしら」と心配する。
いしかわ動物園の獣医師、堂前弘志さん(53)によると、人が多い住宅地で産卵するのは珍しいが、「見守っていれば大丈夫」。卵は一カ月ほどでふ化し、ひなは生まれてすぐ歩けるようになる。「七十五メートルくらいであれば、川まで親が連れて行くだろう」と話している。
カルガモは、水辺近くの外敵から身を守れる場所を選び産卵する。「きっとこのカモも『良い場所を見つけた』と思って卵を産んだはずですよ」
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