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「傷んだカツオの補償」 焼津港窃盗容疑者が慣習名目に持ち去り?

2022年5月12日 05時05分 (5月12日 09時42分更新)
 焼津市の焼津港で船会社が水揚げした冷凍カツオを盗んで鹿児島県内に横流ししたとして、窃盗の疑いで、運送会社元社長ら六人が逮捕された事件で、水産会社「大洋エーアンドエフ」(タフコ、東京)の焼津営業所長市原竜一容疑者(46)が逮捕前、持ち去ったカツオは仕入れ後に鮮度が悪く、傷んだカツオの補償と説明し「窃盗ではない」と周囲に話していたことが関係者への取材で分かった。
 頻度は少ないが鮮度が悪く、傷むなどしたカツオは「浮き」と呼ばれ、加工品にならない。仕入れたカツオに浮きが含まれていた場合、加工会社は漁協を通じて船会社に連絡し、補償してもらう慣習になっていた。
 二〇二一年十月に県警が別の窃盗ルートを摘発した際、浮きの補償の名目で、漁協関係者などが船会社に連絡せず、独断でカツオを持ち去る事態が繰り返されていたことが焼津漁協の調査で判明。船会社が知らないところで浮きの補償などとして、カツオが持ち去られており、船会社は「事実上の窃盗だ」と指摘していた。
 今回の事件で、市原容疑者はこれらの慣習を名目に窃盗に及んでいた可能性がある。
 市原容疑者が所属するタフコは、水産大手マルハニチロが100%出資する子会社。マルハニチロが今年一月から二月に実施した社内調査では「(市原容疑者が)冷凍カツオを盗品と認識していたとは認められなかった」と結論付けていた。同社の関係者は取材に「『浮き』の補償として本社に報告していたため、社も不正と気づけなかったのではないか」と話した。
 県警によると、六人は二一年三月二十二日、共謀して、宮城県の船会社が焼津港の魚市場で水揚げした冷凍カツオ約十トン(時価計約百六十三万円)を盗んだとされる。

◆県警捜査 枕崎へも横流しか

 焼津市の焼津港で水揚げされた冷凍カツオを盗み鹿児島県指宿市内に横流ししたとして、運送会社元社長ら六人が窃盗の疑いで逮捕された事件で、盗まれたカツオの一部が同県枕崎市の水産加工会社にも渡っていたことが関係者への取材で分かった。県警は複数ルートで横流しされていた可能性も含め、捜査している。
 複数の関係者によると、神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長、北村祐志(ひろし)容疑者(48)らにより盗まれた冷凍カツオ約十トンのうち約三トンは、水産会社「大洋エーアンドエフ」(東京)の焼津営業所長、市原竜一容疑者(46)に渡り、運搬役のホクユウがトラックやフェリーを使い、枕崎市の水産加工会社にも流れたとみられる。
 残りは、冷蔵倉庫会社「焼津マリンセンター」(焼津市)元幹部、小泉陽之(はるし)容疑者(51)が一時保管。運搬役のホクユウが、指宿市で卸売業を手掛ける鶴窪勝広容疑者(65)に流し、鹿児島県内の別の水産加工会社に売られていたとみられる。

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