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歩道橋を「丸ごと」再利用 津から、偶然重なり四日市へ

2022年5月8日 05時05分 (5月8日 17時12分更新)
撤去される前の江戸橋横断歩道橋=津市江戸橋で(国土交通省三重河川国道事務所提供)

撤去される前の江戸橋横断歩道橋=津市江戸橋で(国土交通省三重河川国道事務所提供)

  • 撤去される前の江戸橋横断歩道橋=津市江戸橋で(国土交通省三重河川国道事務所提供)
  • 再利用され新たな場所で設置工事が進む歩道橋=四日市市笹川で
 四日市市笹川の市道環状一号線に、特徴的ならせん階段を両端に配した歩道橋が架かり、二十一日に利用が始まる。はて、この形、どこかで見たような…。実は、橋桁や階段部分は四年前に別の場所で歩道橋としての使命を終えたもの。異例とも言える歩道橋の「リサイクル」の背景には、さまざまな偶然が折り重なっていた。 (斎藤雄介)
 同じ形の歩道橋があったのは、津市江戸橋の近鉄江戸橋駅近く。「江戸橋横断歩道橋」として一九七二(昭和四十七)年、国道23号を渡る手段として設置された。四十六年がたった二〇一八年十一月、河川改修に伴う市道の付け替えなどにより、撤去された。
 同じ頃、四日市市笹川の団地内にあった小学校二校が統合され、笹川小学校が翌一九年に開校。児童が登下校で、団地の中央を南北に通る環状一号線を横断する必要が生じた。今後の延伸事業で交通量の増加も予想され、担当者は「より早期の安全対策が求められていた」と振り返る。
 歩道橋を撤去した国と、対策を迫られていた四日市市のタイミングが合い、国側から譲渡の打診を受けた市側が承諾。市によると、新たに調達するより時間の短縮が見込めたためという。設置工事の前には耐震性強化などの補修を施し、「設置後も法定点検やメンテナンスをして長く活用する」としている。
 県道路建設課によると、コスト増につながる鋼材価格の高騰など、再利用の需要が増える要素はあるものの、実際の事例は「あまり聞いたことがない」。理由として、歩道橋は長さが道路幅によって異なり別の場所では使いにくい▽必要となった時に都合よく撤去されるケースが少ない−などが考えられるという。四日市市の設置場所は両側が公園のため、歩道に設置する場合と比べて長さの制約が小さかったことも影響したとみられる。
 偶然は、さらに重なっていた。
 今回の歩道橋設置工事を一般競争入札で落札した松阪市の建設業「宇野重工」は、半世紀前の江戸橋歩道橋設置と、四年前の撤去工事をいずれも受注していた。同社の担当者は「近隣に鉄を扱う業者が少ないという事情はあるかもしれないが、偶然としか言いようがない」。一方で「誕生から引退、そして再生の全てに関われることに感謝し、安全第一に工事を進めたい」と気を引き締めている。

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