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カーネーション農家、母の日も浮かぬ顔 円安、ウクライナ侵攻…経営直撃

2022年5月6日 05時05分 (5月6日 05時06分更新)
母の日に向け、鉢物のカーネーションの出荷準備を進める長沼さん=長野県飯田市の南原園芸で

母の日に向け、鉢物のカーネーションの出荷準備を進める長沼さん=長野県飯田市の南原園芸で

 8日の母の日に欠かせないカーネーションの栽培農家を、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰や、円安が圧迫している。ハウス内の暖房費や輸入肥料などの経費が例年よりかさんでいるためだ。全国で特に栽培が盛んな長野県や愛知県の生産者は悩みを抱えながら、出荷最盛期を迎えている。 (長崎光希)
 長野県飯田市の「南原園芸」は、鉢物のカーネーション一万株を母の日向けに出荷する。花びらがピンクから白に変わる品種「いちごソフト」が鮮やかに咲くハウスで出荷前の花の生育を確かめながら、園主の長沼春樹さん(48)が「苗の仕入れ経費だけでも取り戻せたらなあ」とこぼした。
 南原園芸のカーネーションハウスは三棟。出荷時期に合わせ、ハウス内の暖房を管理する。使う重油は毎年約四千リットル。購入価格は従来、一リットル八十円ほどだったが、今季はウクライナ問題やコロナ禍などの影響で、百円近くまで上がった。戦争による航路の制限や円安で、肥料などの輸入価格が上がったのも痛手だ。
 鉢植えのカーネーションの九割以上は母の日向けとされる。生産者は、前年から卸売業者と価格を取り決めていることが多い。南原園芸が契約を交わしたのは、ロシアのウクライナ侵攻が始まる約四カ月前の昨年十月ごろ。すでにギフト用カタログが出回り、小売値、卸値とも見直しが難しいという。
 母の日シーズンを終えた五月下旬ごろには、生産者と卸業者は、来年の価格に向け交渉を始める。鉢物卸売りのシェア国内トップを誇る愛知県豊明市の「豊明花き」の横岸沢裕二商品部長(49)は「ウクライナ情勢もコロナ禍も状況が不安定で一年後が全く見通せない。仕入れ値を容易に上げるわけにもいかない」と話した。
 母の日以外に祝いの花束や供え物などとして一定の需要がある切り花も、鉢物ほどではないものの、状況は厳しい。
 四月下旬から連日、約一万本のカーネーションの切り花を出荷する愛知県西尾市の「鳥居園芸」。円安などの影響で輸入生花が減少し、国産の単価は上がったが、園主の鳥居俊二さん(68)は「燃料費の値上がりの方がはるかに大きい」と嘆く。周囲には燃料節約のため、母の日に合わせたハウスの温度管理を諦め、より暖かくなる母の日後に出荷をずらす農家も目立つという。
 飯田市の切り花生産「稲丘花卉(とうきゅうかき)園芸」の関島和幸代表(43)は「長く楽しめる花だから、母の日に限らず、もっと注目してくれればいいのだが…」と願った。

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