背中で気配を察し寸前で止まる…貴重な3点目もぎとった中日・木下の“好走塁死” チームの走塁への意識向上中
2022年5月2日 10時23分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇1日 中日4-0広島(バンテリンドームナゴヤ)
柳の続投と、喉から手が出るほど欲しかった追加点を両立させた6回。1死二、三塁から柳の浅い中飛で、三走・高橋周がスタートを切った。前日も見たようなシーンだが、違ったのは捕った上本が狙った獲物が、周平ではなく、三塁に走った木下だったことだ。
結果から書く。木下は挟殺され、攻撃は終わった。しかし、使命は果たした。彼の優先順位は(1)セーフになることだが、実はもっと大事なのは(2)だった。それは三塁に投げてきたら自分が死んでも周平は生かすこと。上本の狙いは周平が本塁を踏むよりも先に、木下を殺すことだった。そうすれば得点は入らない。だから木下は背中で気配を察し、寸前で止まった。1秒稼げば、勝ちだった。
「どうしても1点欲しい場面で、微妙なタイミングだと思ったので、周平のスタートを確認してから走りました。結果、点が入ってくれてよかったです」
自らがおとりとなった、好走塁ならぬ好走塁死。誰もが心配した直前の右手甲への死球も、どうやら大事には至らなかったようだ。
チームの走塁への意識は、確実に上がっている。得点には絡まなかったが、8回にも見えた。無死満塁からの木下の右犠飛。三塁から代走・高松が生還したのはもちろんだが、二走の平田も三塁を奪った。右翼・堂林が本塁へ投げたのを見たからだ。カットに入った菊池涼が三塁に投げたが、間一髪セーフ。上本も菊池涼も視野の広い送球だったが、紙一重で竜の走塁が上回った。
「木下は冷静でした。賢い走塁をしてくれた。平田も好判断です。タッチアップの構えをしたときから、こちらを見てくれていた。キャンプから迷ったときは行こう。一、三塁の局面をつくろう。そう伝えてきたことを本当によく実践してくれています」
大西三塁ベースコーチが走塁改革の進度を実感する。アウトの木下とセーフの平田。結果は正反対だが、そこには行く勇気と止まる決断が詰まっていた。
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