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浜松基地周辺 空き地点在

2022年4月30日 05時05分 (4月30日 05時07分更新)
着陸のため、防衛省が管轄する空き地の上を通り過ぎる自衛隊機=浜松市中区萩丘で

着陸のため、防衛省が管轄する空き地の上を通り過ぎる自衛隊機=浜松市中区萩丘で

  • 着陸のため、防衛省が管轄する空き地の上を通り過ぎる自衛隊機=浜松市中区萩丘で
 浜松市の航空自衛隊浜松基地近くに住む主婦から「小豆餅(あずきもち)地区や萩丘地区の住宅街に防衛省が管理する空き地がある。何のためにあるの」との質問がユースク取材班に寄せられた。調べてみると、背景には、騒音を理由に引っ越した家屋の移転補償制度があった。 (中田弦、高橋雅人)
 投稿した鈴木智子さん(66)は日課の散歩中に空き地が点在していることに気づいた。空き地には木々が立ち、上空からは文字や地上絵のように見えるのではないか。「上空の戦闘機に向けた暗号や標識みたいなものかな。もしかして不時着する時のために確保しているのかも」。ずっと気になってきたという。
 基地周辺を歩くと、確かに高さ一メートルほどのフェンスに囲われた空き地がいくつも見つかった。一軒家がやっと建つほどの広さからフットサルコート大までさまざま。いずれも下草が刈られ、樹木が植えられている。時折、離着陸する戦闘機のごう音が響く。
 フェンスには「No.134」「1−80」などと番号が書かれた札が下がる。立ち入りや不法投棄を禁じる看板には「南関東防衛局」の文字。あまり聞き慣れない組織だが、静岡、神奈川、山梨の三県を管轄する防衛省の地方拠点で、本局は横浜市にある。

◆騒音禍 引っ越しの跡

 「空き地は暗号や不時着時のために確保しているものではありません」。担当者は鈴木さんの見立てをきっぱりと否定した。実は「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づいて、防衛省が買い上げた土地。ほとんどが騒音を理由に引っ越した住民への補償として家屋の跡地を買ったものだという。
 同局によると、基地周辺で管理している土地の数は把握していないが、総面積は約二十九ヘクタール。現在も予算に応じて毎年二、三カ所を買い上げている。全てが買い取り対象になるわけではなく、騒音レベルに応じて国が指定した区域内にある宅地で、建物が建てられた年代などにも条件がある。
 騒音対策で取得しているため、基本的には緑地として管理している。浜松市によると、基地北側の高丘公園に隣接する緑地や基地南側の泉運動広場のように、市が防衛省から使用許可を得て、公園などとして活用している「使用許可済み地」も十三カ所ある。防衛省の許可を受ければ使用できる「使用許可対象地」、使用はできない「周辺財産」に分かれる。
 「長年住んでいて基地の騒音も当たり前になっているけど、補償の話はなじみがなかった。土地をうまく活用する方法があればいいのに」と鈴木さん。防衛省によると、全国的には駐車場や家庭菜園として利用されている事例もある。南関東防衛局のホームページに概略図を載せ、有償利用の方法を案内しており、担当者は「使いたい場合は一度ご覧いただければ」と話している。

◆73デシベル以上補償対象 4カ所毎日測定

 南関東防衛局によると、浜松基地周辺で移転補償の対象になるのは騒音レベルが七三デシベル以上の区域。一方、六二デシベル以上の区域は二重窓の設置など住宅防音工事の助成対象となる。
 毎日、基地周辺の四カ所に設置した装置で騒音を測定しており、二〇二一年度の年間平均値が最も高かったのは、市農村環境改善センター(浜松市西区伊左地町)の五九・八デシベル。国際的な騒音評価で、環境基準となる六二デシベルを下回った。
 市も航空機が離着陸するコース直下の四カ所で独自に騒音を測定している。毎年二カ所ずつで交互に実施しており、二〇年度の年間平均は基地東方約一・八キロの東区有玉西町で六一デシベル、西方約二・一キロの西区伊左地町で六〇デシベルだった。
 同基地によると、通常の訓練は午前七時台から午後五時台まで。夜間訓練を実施する場合は、同基地のホームページや周辺住民への回覧で予定を知らせている。
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