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名古屋の天気、見守り100年 名古屋市千種区の気象台本庁舎

2022年4月28日 05時05分 (4月28日 05時06分更新)
 日々の天気予報や気象、地震や火山に関する情報を提供し、防災機関としても重要な役割を果たす気象台。名古屋市千種区日和町の高台には、白い外観が目を引く名古屋地方気象台の本庁舎がある。今年で建設から100年。同気象台によると、国内の現役の気象台庁舎では最古という。 (斉藤和音)

建設から100年を迎える本庁舎。上部にあるのが測風塔=名古屋市千種区の名古屋地方気象台で

 名古屋地方気象台は、一八九〇(明治二十三)年七月に「名古屋一等測候所」として、南武平町(現在の中区新栄町)で気象観測の業務を始めた。その後、一九二二(大正十一)年十二月に現在の場所に庁舎が完成。翌二三年一月に移転した。
 気象レーダーなどがない時代。市中心部の開発が進んで周囲の環境が変化する中、「より観測に適した見張らしの良い場所を選んだのでは」と、気象情報官の常盤実さん(61)はこの地に建設された理由を推測する。当時、測候所は県営で、本庁舎は県職員が設計した。鉄筋コンクリート平屋造りで、建物中央には風速や風向を測る「測風塔」がある。測風塔の内部は当時のまま残り、今も急な木製の階段を上ると、最上部からは市内が一望できる。

急な階段が設けられた測風塔の内部=名古屋市千種区の名古屋地方気象台で

 瓦屋根がなくなるといった変化はあるが、竣工(しゅんこう)時から大きな増改築はしていない。建物の入り口上部などには、大正時代に欧州で流行した「セセッション様式」と呼ばれる特徴的な幾何学模様が見られる。「名古屋地方気象台」と改称したのは、三九(昭和十四)年になってからだ。
 百年の間に、気象台はさまざまな自然災害に見舞われた。四四年十二月に発生し、東海地方の沿岸部を中心に震度6〜7の揺れを観測したとされる昭和東南海地震では、中の震度計が振り切れるほどの揺れに襲われた。五九年の伊勢湾台風では、隣にある気象台の別の建物でトタン屋根が吹き飛ぶなどの被害を受けたが、本庁舎は雨漏りしたものの大きな被害は免れ、未曽有の災害を記録する役割を果たした。
 現在の本庁舎には事務所や会議室などが入り、観測業務は隣の建物で行われている。周囲は雑木林から住宅地へと変化したが、「同じ場所で観測を続けてきたことに意義がある」と常盤さんは強調する。「自然災害による被害を防ぎ、国民の命や財産を守ることが気象台の役割の一つ。被害を軽減するための防災や気象情報の発信のためには、正確な気象データを取ることが求められる」と話した。

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