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「昼メロ」のルーツ「メロドラマ」とは何か…語源を探りながら「昼ドラ」の『独特演出』を掘り下げる【企画・NAGOYA発】

2022年4月26日 12時19分

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「花嫁のれん3」の収録風景。左は野際陽子、隣が羽田美智子(東海テレビ提供)

「花嫁のれん3」の収録風景。左は野際陽子、隣が羽田美智子(東海テレビ提供)

  • 「花嫁のれん3」の収録風景。左は野際陽子、隣が羽田美智子(東海テレビ提供)
  • 2004年の「牡丹と薔薇」 主演の大河内奈々子(右)と小沢真珠(東海テレビ提供)
  • 2002年の「新・愛の嵐」。主演の藤谷美紀(右)と要潤(東海テレビ提供)
  • 「昼ドラ」の独特の演出について語る東海テレビの市野直親東京制作部長
◇NAGOYA発第5回「東海テレビ・昼ドラ」その5
 かつて昼の帯ドラマとして存在していた「昼ドラ」が、制作を担った東海海テレビ(フジテレビ系)のローカル深夜枠に再放送で復活し、プチブレーク中だ。当時のターゲットは主婦層で、家事をしながらでも繰り返し視聴してもらえるよう、独特の脚本作りや演出をしていた。この手法は今でも他のドラマに応用されているという。昼ドラはかつては「昼のメロドラマ」「昼メロ」と呼ばれたことも。「メロドラマ」とは何か。語源を探りながら「昼ドラ」を掘り下げる。(鶴田真也)
  ◇  ◇  ◇
 【昼メロとは】昼のメロドラマのこと。広辞苑によると、メロドラマとは「波乱に富む感傷的な通俗恋愛劇。18世紀イタリアに起こった、音楽を伴奏としてせりふの朗誦を行う劇」とある。簡単に言えば、感情の起伏が激しい愛憎劇だ。「メロ」とはギリシャ語で「歌」を意味する。旋律を表す「メロディー」もメロから派生している。
 東海テレビでプロデューサーとして昼ドラを制作していた市野直親東京制作部長は「1999年から制作に携わったが、当時は『昼メロ』という言葉がちゃんとありました」と言う。
 同局の昼ドラは2016年に放送が終了するまで基本的には2、3カ月単位で月~金曜に放送されていた。「同じことを繰り返しても見てもらえません。おのずと“起伏”の付け方が激しくなり、ドラマの基本はラブストーリーだから、自然とメロドラマになっていったのでしょう」とした。
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 【独特の演出法(1)】昼ドラの放送は平日午後1時30分からの30分間。ターゲットにしていた主婦層が食事の後片付けや洗濯などの家事をする時間帯で、“ながら見”をしながらでもドラマに楽しんでもらうための手法を先人から受け継いできた。
 特に視覚や聴覚に訴える演出も多用した。例えば、雷だ。「急に雷が鳴る。さらに稲光で、画面がチカチカする。するとテレビから目を離していた視聴者の方々に何だろと振り向いてもらえる」と市野部長。
 他にもせりふの途中でグラスや皿を落として割ったりすることもあった。これらの演出は脚本段階でト書きに明記されていた。昼ドラは他のドラマよりも収録日程がタイトだったため、急にその場で美術、照明などの用意ができなかったという事情もあった。
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 【独特の演出法(2)】家事の合間にドラマを見る主婦層にストーリー展開を把握してもらおうと、ドラマの冒頭に“振り返り”を入れ、前回の放送分の一部を再度流す手法も採り入れられた。ただし、メリハリをつけるために大事な場面ではわざと“振り返り”を入れないこともあった。
 台本を1週間単位の5話分で作ると中盤の水、木曜で話の盛り上がりに欠けることもあり、あえて3話分のボリュームにし、物語を濃くするための工夫を凝らした。
 市野部長は「前回を見逃した視聴者に『この人、誰?』と疑問を持たれないよう出演者の数を絞り、限られた人数で濃い人間関係で見せていくようにしていました」とも振り返った。
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 【独特の演出法(3)】スタジオにセットを組んで撮影することがほとんどで外に出てロケをすることは少なかった。そのため、必然的に役者同士の会話劇が主となり、独特の言い回しや長ぜりふは当たり前だった。
 市野部長は「セットでの撮影は舞台的な要素が多い。自然と登場人物の人間関係が濃くなり、ぶつかり具合も激しくなりました」と言う。
 ドロドロの愛憎劇で話題となった2004年の『牡丹と薔薇』でも「役立たずのブタ」「このイノシシ野郎」など強烈なせりふが話題となり、食卓で実姉と浮気する夫に牛革の財布をビーフステーキとして振る舞う衝撃的なシーンもあった。
 「せりふも第三者からではなく、相手に直接言う。『好きだ』という言葉も風の噂で聞くのではなく、走ってきて扉をドンドンとたたきながら叫ぶといった動かし方になります」と解説した。
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 【独特の演出法(4)】キャスティングにも秘密があった。視聴者の中心となった主婦層は子育て中で子どもと一緒に特撮ドラマを見る機会も多い。そこで特撮ヒーロー出身者を起用することもあった。例えば2002年の『新・愛の嵐』に出演した要潤は前年の01年に放送された『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)がデビュー作だった。昼ドラは「特撮俳優の登竜門」と呼ばれたこともあり、「お母さんの間でもファンが多く、フレッシュなイメージで見てもらえました」(市野部長)。ネクストブレーク女優が起用されたこともあり、10年の「明日の光をつかめ」では広瀬アリスが主演した。
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 ※東海テレビでは「“深夜の”昼ドラ」として往年のドラマを東海地区ローカルで深夜帯に再放送中。金曜深夜に「嵐がくれたもの」(2009年)、日曜深夜に「娼婦と淑女」(10年)が組まれている。

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