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ウクライナ侵攻2カ月 「戦争」伝え方、悩む学校

2022年4月26日 05時05分 (4月26日 09時51分更新)
新学期最初の社会科の授業で、生徒と「理想の社会」や今の世界情勢を考える授業を行う筒井信行教諭=浜松市中区の高台中学校で

新学期最初の社会科の授業で、生徒と「理想の社会」や今の世界情勢を考える授業を行う筒井信行教諭=浜松市中区の高台中学校で

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって約二カ月。激しい攻撃や市民の犠牲が報じられる中、授業でも人の命が奪われる「戦争」の理不尽さが取り上げられている。学校現場では平和の大切さを訴えながらも、特定の国への偏見や差別をどう防いだらいいのか。試行錯誤が続く。 (久下聡美、高橋雅人)
 「私たちが歴史を学ぶのは、未来に同じ失敗を繰り返さないため」。浜松市中区の高台中学校で、筒井信行教諭は一年生に社会科を学ぶ意義をそう語った。
 ロシアのウクライナ侵攻で、激変する世界情勢。筒井さんは「世界の人がどうしたら幸せに暮らせるのかを考えるのが社会科。現実はどうか」と問うと、大森翔さんが「ウクライナを、ロシアが武力で奪おうとして、多くの人が亡くなっている」と述べ、鈴木理仁さんも「欧州のグループに入りたいウクライナをロシアがやめさせようとしている」と発言した。
 筒井さんは、米国型の資本主義経済と旧ソ連型の社会主義経済をパン生産にたとえ、それぞれ「自由」と「平等」を重視する価値観があることを説明した。
 「世界にはいろいろな価値観がある。異なる価値観を武力で抑えたりすることは絶対にしてはいけない」と説きながらも、こう強調した。「ロシア自体を否定したり、ロシア人を差別するのも良くない」
 浜松市中区の西遠女子学園では、太平洋戦争で亡くなった生徒や教員を追悼する五月十二日の慰霊式に向けた平和学習の中で、ウクライナ侵攻に触れている。
 高校二、三年生は激動する世界情勢を踏まえ、平和がテーマの作文を提出した。高校の生徒会は三月に続き、ウクライナを支援する募金活動を予定する。
 大庭知世校長は「侵攻は良くないが、ロシアの全否定にならないよう伝えていかないと」と指摘。「命を奪われる理不尽さをどう伝えていくか。先生方も少し慎重になっていると思う」と話した。
 高校三年の学年主任で社会科の白井秀明教諭は、あえて授業では取り上げていない。「今は感情が先走ってしまって難しい」と事情を語る。「事態が少し落ち着いてから話し合った方が、本質的な部分が見えてくると思う」と話す。
 映像や写真などを通じ、初めて目の当たりにする「戦争」。高校三年の大村ひなのさん(17)は「いつまでも平和で過ごせるわけじゃない」と危機感を抱き、「誰もが平和を願っているが、願っているだけではダメ。考えて行動に移す必要がある」と訴えた。

◆多様な情報に触れて

<静岡文化芸術大の加藤裕治教授(情報社会論)の話> ソーシャルメディアが発達した現代の戦争は、当事国が政治目的の達成のため、軍事的な要素のほかメディア戦略を含め、さまざまな手段を組み合わせる「ハイブリッド戦争」の側面が大きくなっている。ウクライナ問題もグローバルな情報戦になっている。受け手は偏った情報だけで結論付けないことが重要。より正確に事態を把握するため、インターネットで見たら、テレビや新聞の情報にも触れ、多メディア多チャンネルを意識する必要がある。

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