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がん患者の外見、長期ケアへ 名古屋・千種のNPOが新施設

2022年4月26日 05時05分 (4月26日 08時51分更新)
病気の治療による見た目の変化に悩む人やのみ込む力が低下した人を支える施設のオープンに向け、寄付を呼び掛ける岩岡さん(左)=名古屋市千種区鹿子殿3で

病気の治療による見た目の変化に悩む人やのみ込む力が低下した人を支える施設のオープンに向け、寄付を呼び掛ける岩岡さん(左)=名古屋市千種区鹿子殿3で

 がんの治療に伴う脱毛や肌や爪の変色といった見た目の変化に対応する「アピアランスケア」を長期的に行うセンターと、嚥下(えんげ)食を提供するカフェを併設した施設「TOTONOU」が今秋、長久手市中井に誕生する。名古屋市千種区の県がんセンター近くでアピアランスケアに取り組むNPO法人が計画。脱毛後に生えてくる髪の毛のカットやケアといった美容面のサポートも強化する。十一月のオープンに向け、建設費の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。
 新施設は、医療用ウイッグ(かつら)など患者の外見のケアに取り組む全国福祉理美容師養成協会(通称・ふくりび、日進市)が運営。千種区の「アピアランスサポートセンターあいち」と東京の二カ所で、ウイッグのメンテナンスやメークの助言をしているほか、高齢者施設への訪問美容サービスでも二十年以上の実績がある。
 これまで、治療の初期段階から患者と関わり、髪や食事、家族のことなどさまざまな相談に応じてきた。一方で、「いつまで通って良いのか。まだ卒業したくない」という不安の声も寄せられていた。
 「治療後も再発の不安や乳房再建、子どもを持ちたいといったことなどを気軽に話せて、医療や福祉の枠を超えてつながれる場所が必要だと考えた」と、ふくりび事務局長の岩岡ひとみさん(43)。
 TOTONOUに新設する「アピアランスサポートセンターながくて」では、医療用ウイッグを含めてがん患者の髪や肌、爪の悩みに応える。また、治療後に癖毛が生えてきたり、一部分が生えそろわないといった美容面の相談も多いことから、治療後も長期にわたって支援するという。
 嚥下食カフェ「Kam Yom(かむよむ)」では、栄養やのみ込みやすさに配慮した食事を提供し、家族全員が一緒に食事を楽しめることを目指す。乳がんに罹患(りかん)した経験のある元SKE48メンバーで、タレントの矢方美紀さんがプロデューサーに就任し、メニューの監修は摂食嚥下リハビリテーションの最前線で活躍する東京医科歯科大の戸原玄(はるか)教授が務める。本棚オーナー制度を採用し、カフェには六千冊の本もそろえる。親子で学べる食育セミナーなども、「ながくて大学」と題して企画していく。
 新施設の建設費用は、新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻による木材や鉄などの価格高騰の影響を受け、当初の予算の一・四倍に。総建設費の一億七千万円のうち二千万円を、五月二十三日までCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で募る。寄付金は内装費や備品購入などに充てる。
 岩岡さんは「二人に一人ががんになる時代で、患者本人だけでなく家族も支える場所が求められている。病院と自宅の中間に位置するような、気軽に訪れられる『サードプレイス』にしていきたい」と話した。 
 (斉藤和音)

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