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町会活動 使われぬ空き家 金沢市が改修補助 事業6年 利用ゼロ

2022年4月23日 05時05分 (4月23日 09時52分更新)
金沢市の空き家活用事業を紹介するパンフレット

金沢市の空き家活用事業を紹介するパンフレット

「100万円では不足」「ニーズ不明」

 金沢市が町会をはじめ地域団体の活動場所として空き家を利用してもらう事業を二〇一六年度に始めてから六年がたったが、改修を伴う利用実績はゼロ。町会の活動場所が足りているという指摘をはじめ、事業の予算不足との声もある。空き家の所有者と借り手とを結び付けるマッチングが難航している現状が浮き彫りになっている。(鈴木里奈)
 事業では、空き家を地域の集会所として使う場合、改修のための整備費を市が三分の二まで、上限百万円を負担する。空き家の所有者と、町会、市が協定を結び利用する。空き家を解体して空き地を活用する場合の解体費も補助する。
 市は毎年一件分の百万円を予算化してきたが、これまで使われず、翌年度に財源として繰り越してきた。
 自前の施設を持たず、活動場所を求めている鈴見台五丁目町会の誉田(こんだ)豊会長(75)は「ぜひ空き家を借りたい」と言い切る。市の制度には「改修費が百万円では、水回りの改修で手いっぱいで、古い家は直しきれない」と話す。「まだ家財を置いているからと、相談しても貸してもらえなかったこともある」と明かした。
 売買仲介やリノベーションの設計を手掛ける不動産会社「金沢R不動産」の小津誠一代表は「金沢では活動場所がある町会も多く、公民館でも活動できる。ニーズが見えにくい。空き家を所有している高齢者がいつか孫が使ってくれると期待し、他人に貸したがらないケースも聞く」と話す。
 市住宅政策課の担当者は「制度の目的は空き家化の防止。選択肢の一つとして地域に役立ててもらいたい」と訴える。市は空き家をテレワークの場として利用する場合に改修費や通信回線の工事費の一部を助成する事業も二一年度から始めたが、利用されていない。
 空き家問題は各地でも課題だ。石川県能美市では、土地ごと空き家を寄付してもらい、第三者機関に売却する制度を三月から始めたが、問い合わせはあるが、実績はまだない。
 小津代表は「北陸では新築需要が高く、空き家が増える要因にもなっている。空き家を減らすためには中古物件を改修して積極的に利用するなど、意識改革が必要だ」と話している。

▽市内に1万1290戸

 金沢市の空き家=総務省によると、2018年度時点で、管理されず放置されている「その他空き家」は金沢市内に1万1290戸ある。空き家活用に関する市への相談は、年300件前後。売り手と買い手を仲介する市の「空き家バンク」の成約率は9割を超える。

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