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【富山】幻のワカメ 絶やさぬ 「朝日町・宮崎海岸」伝統 担い手激減

2022年4月23日 05時05分 (4月23日 09時49分更新)
「灰付けワカメの応援団を増やしたい」と作った朝日町観光協会のパンフレットと上沢聖子さん。四つ折りにするとワカメの形になる=富山県朝日町平柳で(中島健二撮影)

「灰付けワカメの応援団を増やしたい」と作った朝日町観光協会のパンフレットと上沢聖子さん。四つ折りにするとワカメの形になる=富山県朝日町平柳で(中島健二撮影)

  • 「灰付けワカメの応援団を増やしたい」と作った朝日町観光協会のパンフレットと上沢聖子さん。四つ折りにするとワカメの形になる=富山県朝日町平柳で(中島健二撮影)
  • 採れたばかりの新鮮なワカメに灰をまぶす作業。浜では天日干しされている=富山県朝日町の宮崎海岸で(朝日町観光協会提供)
  • 昭和30年代に撮影されたワカメ漁の様子。最盛期には200隻もの漁船が競うように採ったという=富山県朝日町の宮崎海岸で(朝日町観光協会提供)

▽「灰付け」絶妙の食感
▽福島から移住女性 奮闘

 富山県朝日町の宮崎海岸に江戸時代から伝わる伝統の灰付(はいつ)けワカメ作りを絶やすまいと、東日本大震災を機に福島県内から町に移住してきた女性が奮闘している。担い手不足が深刻な現場で生産の手伝いを続け、この春には歴史や調理法を紹介して魅力を伝えるパンフレット作りを町観光協会に提案し、実現させた。貴重な食文化の応援団を増やそうと懸命だ。 (中島健二)
 女性は福島県会津美里町出身の上沢聖子さん(41)。大学で学んだ農業土木を生かせる職場として富山県庁で働いた経験があり、朝日町のことも知っていた。その後、福島に戻って震災に遭い二〇一一年に朝日町へ。故郷にはない漁業を新鮮に感じる中で灰付けワカメ作りの魅力にひかれた。
 新鮮なワカメにわら灰をまぶし、砂浜で天日干しして作る。朝日町では、成長具合を見極めてワカメを採ったり、灰のまぶし方や干し方も昔から伝わる方法を守ってきた。それが生み出す絶妙の軟らかな食感と香りで人気を集めている。
 最盛期の昭和三十年代には、ワカメを採る二百ほどの漁船が浜を埋めるように出ていた。人口減と高齢化が進む中、好天に恵まれ、なぎという海の条件がそろう五月の二日間ほどしか漁ができないこともあって担い手が激減。今は一軒の漁業者と漁協が出す二隻が漁に出るだけ。生産量が少なく、伝統の味が堪能できるため「幻の灰付けワカメ」とも言われる。
 「昔から作業の仕方は変わっていなくて手間がかかる。続けていくにはサポートが必要」。上沢さんは移住した翌年から手伝いを始めた。知人にも呼び掛け、漁業者らに加わって女性三人がワカメをさばいたり砂の上に並べたりしている。
 パンフレット作りは「手伝う仲間を増やしたい」と提案し、計千部が刷られた。「どう食べていいか分からない人がいる。若い人にも食べてほしい」と灰を落とすなど下処理の仕方や五種類のレシピを紹介している。レシピとデザインは仲間の女性たちが手掛けた。
 上沢さんは「これからは若い人にもおいしく食べてほしい。まずは購入して、魅力を理解するファンが増えてくれたら」と呼び掛けている。

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