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ピンチも少ないがチャンスも少ないFC東京…ルーキー松木の存在がその中でもゴールの可能性を感じさせた

2022年4月22日 06時00分

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FC東京・松木

FC東京・松木

◆コラム「大塚浩雄のC級蹴球講座」
 20日の名古屋戦、FC東京が3試合連続のスコアレスドローに終わった。リーグ戦ではFC東京史上、初めてという。
 今季、FC東京は9試合を戦い8得点。J1では下から数えて6番目。最少は14位の福岡で9試合4得点。湘南(9試合)と神戸(10試合)が5得点でそれぞれ17位と最下位。16位の清水が9試合7得点。10試合7得点の名古屋は12位。FC東京は6位と上位に食い込んでいるが、これはリーグ最少5失点の守備力に支えられてのもの。ちなみに、リーグ最多得点は3位・横浜Mの17得点(10試合)。首位・川崎は15得点(10試合)だ。
 サッカーでは3―2の試合が一番面白いといわれる。川崎は12失点、横浜Mは11失点。多少のリスクを恐れることなくゴールを奪いにいく。サッカーはなかなか点が入らない競技であり、だからこそ、ゴールが決まったときの熱狂と興奮が爆発的なのだ。白熱したゲームと言われても、3試合続けて無得点では、フラストレーションがたまるばかりだ。
 実際、FC東京のサッカーはポゼッションを重視し、悪い形でボールを失うことは少ないが、縦に速い攻撃が少ない。手数をかけすぎて、結局は相手に守備を固められてしまう。
 名古屋戦で最も多くパスを供給したのはCB森重。2番目がSB小川。3番目がアンカー青木、4番目がSB長友。DFでのパス交換が多く、攻撃が遅い。アルベル監督は試合後、「決定的なチャンスはあった。あれが決まっていれば勝てた試合だ。あのチャンスがあったゆえに、勝利に値する試合だった。引き分けは残念だ」と悔やんだ。
 インサイドハーフの安部は「チャンスが多かったわけではないが、作れたチャンスの中で仕留めることができず、悔しい。守備をしてからの攻撃がうまくいかなかった」と振り返った。
 データもコメントも同じことを示している。FC東京はリスクを冒さないからピンチも少ないが、リスクを冒した攻撃が少ないからチャンスも少ない。果たしてこのサッカーがファンを魅了するだろうか。
 そんな中、最も可能性を感じさせたのが松木のプレーだ。アルベル監督のいう「決定的なチャンス」は後半8分。自陣の深い位置で相手のミスから青木がボールを奪うと松木につなぐ。松木は一気に前方にボールを運び、右サイドを駆け上がる永井に絶好のパス。永井がコントロールし、強烈なミドルシュートを放った。しかしGKランゲラックが指先に当て、シュートはゴールポストを直撃。この跳ね返りがディエゴオリベイラの正面にきたが、無人のゴールに放ったシュートはクロスバーを直撃した。
 松木は直前の札幌戦でもゴール前に飛び込み、あとちょっとでゴールというシーンを2度作った。デビューとなった開幕戦で強烈な印象を残した松木だったが、その後はフィジカルコンタクトを生かしたボール奪取の人…という印象が強くなり、守備の選手になっていった。
 ただ、インサイドハーフで安部とのコンビ、アンカー青木との呼吸が熟成されるにつれ、札幌戦からペナルティーエリアへの進入回数が一気に増えた。名古屋戦でも積極的にゴール前に進入。後半8分にはカウンターからの決定的シーンも生み出した。今、最もゴールの可能性を感じさせる選手。それが松木だ。
 4月29日、新しくなった国立競技場で初めて行われるJ1の試合。G大阪戦で松木のプロ初ゴールを期待したい。
 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、1994年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。
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