若い記者は知らず古い記者は困惑…中日・落合ヘッド、高橋宏斗は「スケールは平田洋」本拠地で示された“褒め言葉”
2022年4月21日 11時26分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇20日 中日4-1ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)
春の沖縄キャンプで、落合ヘッドコーチにこんな質問が飛んだ。「高橋宏はタイプで言えば誰に近いですか?」。すぐに答えが返ってきた。
「スケールでいえば平田洋だと思います」。僕が知る限り、どのメディアも活字にはしなかった。ヒラタヒロシ。若い記者はその名を知らず、古い記者は知っているからこそ困惑した。
1994年のドラフト1位。愛知県(豊田大谷高)出身の右腕というところも高橋宏との共通項だ。しかし、せっかくのコメントが記事にならなかったのは、失礼ながら平田が成功者とはなれなかったからだ。
通算2試合で0勝1敗。防御率は32・40。中日で5年間、近鉄で1年プレーした後、99年限りで引退した。落合ヘッドが2年目の高橋宏を平田に例えたのは、もちろん理由がある。
「高卒投手としてのスケールの大きさを感じた。そう言いたかったんです。僕が自分より後に入団した高卒で、衝撃を受けたのは平田だけでした。(自主トレの)キャッチボールから、立ち投げ。もうすごすぎて…」
落合ヘッドは大卒3年目。6歳下の逸材に、言葉を失った。20年以上ドラゴンズを追っているが、僕も見てはいない。だけど伝説なら何度も聞かされた。「平田はすごかった…」。それから28年。指導者となった落合ヘッドは2年目の右腕に同じ衝撃を受けたのだ。
「宏斗もそうです。立ち投げを見たときにスケールを感じたんです。我慢して使おう。しっかり育てよう。そう思ったのは(2月3日の)ストライクテストです。みんな置きにいく中で、宏斗は152キロを出しました。あの数字を見た時に決めたんです」
高橋宏を使い、育てる。それが決まったことで、ロドリゲスのセットアッパーも決まった。たった1人の若者によって、竜投の厚みはグッと増したのだ。最後に平田さん。現在は豊田鉄工で工長としてご活躍と聞いた。自分の再来と言うべき逸材が、本拠地のお立ち台に笑顔で立つ姿を見てくれただろうか。スケールは平田級。これが褒め言葉だということを、後輩が証明してくれた。
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