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板前の本格嚥下食弁当 犬山の小島さんら、2年かけ商品化

2022年4月19日 05時05分 (4月19日 16時14分更新)
「見た目にも苦労した」と話す小島さん(左)と、開発を提案した鈴木さん=犬山市羽黒の日本料理店「関西」で

「見た目にも苦労した」と話す小島さん(左)と、開発を提案した鈴木さん=犬山市羽黒の日本料理店「関西」で

 加齢などで食べ物をかむ力が低下した人にも食べる喜びを感じてもらおうと、犬山市羽黒の日本料理店「関西」が、やわらかく調理した冷凍の宅配弁当を作った。飲み込みやすい「嚥下(えんげ)食」は市販もされているが、板前が腕によりを掛けて作った商品は少ないという。一食三千二百四十円(税込み)で、特別な日に食べてもらうことなどを想定する。 (水越直哉)
 「嚥下障害の人の中には、見た目では何か分からない物を食べている人もいる。おいしいものを食べさせたい」。きっかけは四年前、小島健一社長(44)が、市内の訪問診療所「結ファミリークリニック」の鈴木欣宏(よしひろ)院長(53)から受けた提案だった。
 両者で献立を検討し、店で提供することを想定した「やわらか食」を作って試食会まで開いたが、新型コロナウイルスの感染拡大で本格提供できないままになっていた。
 そこで、家庭など好きな場所で食べられるように冷凍の宅配食作りに着手。言語聴覚士の山下晃司さん(小牧市)と、クリニックの看護師須田敏枝さんにアドバイスをもらいながら、九品目からなる弁当を二年かけて完成させた。口の中を幸福にしたいと思いを込めて「口福膳」と名付けた。
 どれも舌で押しつぶせるようなやわらかさが特徴。例えばサーロインステーキは、実際の会席料理で出す肉を焼き、ミキサーで細かくして裏ごしし、それを成型して表面を焼いて肉の見た目を再現した。自家製ソースはとろみを付けているので、口に入れると肉の風味を感じながら、すうっとのどを通る。
 他にエビやハマグリのはんぺん、ウナギのすし、里芋まんじゅうなどがある。九つのスペースに小分けして詰めてあり、一つずつ、食べたいものだけ取り出すこともできる。冷凍のまま電子レンジで温められるが、おいしく食べるには冷蔵庫で半日ほど解凍するとよいという。
 十四日に試食会を開き、参加者からは「素材の味がしっかりしている」と好評だった。小島社長は「見た目の良さ、冷凍しても落ちない味、食の安全の三拍子をそろえるには時間がかかった」と、苦労と手応えを語る。
 注文は同店のホームページかファクス=050(3488)5952=で。(問)関西=0568(67)4314

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