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障害児育てながら仕事

2022年4月15日 12時44分 (4月15日 13時53分更新)
 6歳の息子は発達障害があります。私は時短勤務をしていますが、通院や役所の手続きなどでよく休みます。障害児を育てながら働いている方は、どう両立させていますか。職場に子育て中の人はいますが、事情が違うので相談できません。仕事は辞めたくないです。(三重県、40歳)
◇こうしたら!
 2月11日付で紹介した、障害児を育てながら働く母親(40)の相談。通院などで休むことが多く、仕事とどう両立すればいいかを悩んでいた。「子育て中の同僚もいるが、事情が違うので相談できない」とも。読者からは、自身の体験などを基に「仕事を続けたからいろいろな人の支援を受けられた」「地域でつながりをつくることが大事」といった励ましの声が多く寄せられた。(吉田瑠里)

事情伝えて味方増やそう

 三歳の娘がダウン症という岐阜県の女性(44)。今春から社会保険労務士の資格を生かして仕事に復帰しようと考えていた。しかし、障害児を支援する保育士(加配保育士)を確保している保育園には他の障害児と登園日を分け、週一度にするよう求められた。通える範囲にある、主に六歳までの障害児を受け入れる児童発達支援施設は、午後二時半で終わってしまう。
 
 週一回は発達を促すリハビリにも通っており、出勤して働くのは時短勤務でも無理と判断。五月からは保育園と児童発達支援施設を併用し、実家の自営業を手伝う。住宅ローンを抱え、家計は赤字。「障害児の親が働くのを助けてくれる仕組みが欲しい」と切実だ。
 愛知県愛西市の女性(52)の娘(17)は三歳で発達障害と診断された。以降、定期的な療育や通院で仕事を休むことが増えたが、上司が同僚に事情を伝えてくれ、正規雇用で働き続けた。
 通院は、実母の手を借りた。小学校入学後は、自分が出勤してから娘が登校するまでの時間を、行政の育児支援サービス、ファミリーサポートに任せた。「仕事を諦めて一人で頑張るのではなく、さまざまな援助を求めたから娘は大勢の人にかわいがってもらえた」と言う。六~十八歳の障害のある子が通う放課後等デイサービスの管理者を務める同県豊橋市の女性(37)も同じ意見だ。「その子を知って理解する人が増えれば、将来、地域で暮らしやすい」と強調する。
 職場にはどこまで説明するか。「子どもの状況は伝え続ける必要がある」と書いたのは、発達障害のある息子(18)を育てながら働く千葉県八千代市の女性(42)だ。休む日が多かったり、勤務中に学校などから急な対応を求められたりする場合があるからだ。「地域のつながりも大事」と言う。息子が小学校からいなくなった時は、近所に住む友人の主婦が自分より先に捜してくれていた。
 障害児を育てている・いない、働いている・いないなど、自分との境遇の違いを気にして相談できない人もいるだろう。しかし「何に困っているかを具体的に話せば、一緒に考えてくれる人はいる」と励ます。
 障害のある子がいる部下の女性から「仕事を休む日が増える」と打ち明けられた経験を書いたのは、愛知県刈谷市の女性(48)。「理由が分かれば、何か力になれるのではと考えるきっかけになる」と呼び掛けた。

親の就労支える仕組みを

 
 昭和女子大現代ビジネス研究所の美浦幸子研究員(52)は昨年六~七月、東京都内の特別支援学校の児童・生徒の母親にアンケートをした。二百五十五人の回答があり、就業率はパートが30・2%、フルタイムが24・7%で計55・3%=グラフ1。一方で、二〇一九年の国民生活基礎調査では、十八歳未満の子どもがいる世帯で母親が働いている割合は72・4%だった。

グラフ1

 
 同調査によると、全世帯の平均年収は五百五十万円余。子どもがいる世帯で五百五十万円を下回っているのは34・7%だ。それに対し、美浦さんのアンケートでは世帯年収が五百五十万円未満という回答が54・1%を占め、収入が低い傾向も明らかになった。自身も障害児を育てる美浦さんは「女性の子育てと仕事の両立支援は進んでいるが、障害がある子の母親への支援は不十分」と言う。
 同じアンケートでは、離職や再就労を諦めた経験があるとした母親の65・7%が、子どもの障害が関連していると回答。一方、職場で子どもの障害への理解・配慮が「ある」と答えたのは、働いている母親の69・5%に上った=同2。「職場に伝えるかどうかは個人の判断だが、話さなければ理解や配慮は得られない」と美浦さんは考える。
 説明する際は「一般的な育児との違いを具体的に伝えると、想像しやすいのでは」。特別支援学校にスクールバスがあっても障害の程度によってはバス停まで送迎が必要だったり、障害児を受け入れる学童保育が学区外にしかなかったり…。利用している福祉サービスもさまざまで、障害児を育てた経験がない人にはイメージしにくい。
 二一年の国の調査によると放課後等デイサービスを運営する事業所のうち、夏休みなど休日のサービス提供時間で最も多いのは「五時間超六時間以下」で31・9%。また、平日に三時間を超える事業所は12・1%にとどまる。親が働きにくいことを示すデータだが、厚生労働省の担当者は「放課後デイは親のフルタイム就労ではなく、発達支援を目指すもの」と指摘。ただ「女性の就業率が高まる中、支援の在り方を考えていかないといけない」と話す。

グラフ2

 
 「就労の場を失うと社会からの孤立や強い育児ストレスを招く」と美浦さん。「男女問わず親が働き続けられる環境が必要」と国や自治体、職場に訴える。

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