片葉の葦 鎌を研ぐ藤吉郎 葉の試し切り

2020年5月1日 02時00分 (7月20日 14時34分更新)
豊臣秀吉が藤吉郎と名乗っていた頃、鎌を研いだと伝わる池=浜松市南区頭陀寺町で

豊臣秀吉が藤吉郎と名乗っていた頃、鎌を研いだと伝わる池=浜松市南区頭陀寺町で

  • 豊臣秀吉が藤吉郎と名乗っていた頃、鎌を研いだと伝わる池=浜松市南区頭陀寺町で

◆後の豊臣秀吉 お殿様に仕え

 昔、昔の話です。
 木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)は、頭陀寺(今の浜松市南区頭陀寺町)城主・松下之綱に仕えていました。
 お殿様から鎌を研ぐように言われた藤吉郎は、近くの池に出かけました。きれいな水をと石にかけ、刃先がピカピカに光るまで何度も何度も研ぎました。
 「お殿様の大切な鎌が生き返ったようだ。満足していただけるか、試し切りをしておこう」
 輝きを取り戻した鎌でも、切れ味が鈍っていては大変です。鎌を持った藤吉郎が、池の周りを見渡すと、葦の茂みが目に入りました。
 「硬い茎は力で折れるが、風にゆれる軟らかい葉は難しい。切り落とせれば、お殿様にお渡しできるぞ」
 藤吉郎は、小刻みに揺れる葦の葉に鎌を振り下ろしました。すると、葦の葉が1枚、空中に舞い上がり、風に乗って飛んでいきました。念のため、2度3度試しても、いずれも見事な切れ味です。藤吉郎は、刃こぼれがないか鎌を見ましたが、傷一つありません。
 「これはいい。お殿様に急いで届けよう」
 藤吉郎は城に駆け戻ると、お殿様に鎌を渡しました。鎌を手にしたお殿様は、さっそく試すと、見事な切れ味に感心しました。お殿様は、家来を集め、藤吉郎の働きぶりをほめました。
 切れ味に驚いた家来は、自分の鎌も研いでほしいと次々に持ち寄るようになりました。藤吉郎は、いやな顔一つせず、鎌を研ぎ続けました。
 藤吉郎が鎌を研ぐのは、いつも同じ池でした。仕上がるたびに葦の葉の試し切りもしました。藤吉郎が何度も何度も葦の葉を切り落としたため、藤吉郎に近い側の葉だけ茎の付け根から切られてなくなってしまいました。
 藤吉郎が通った池の葦は、「葉を切られては大変だ」「どうせ葉を出しても切られてしまう」「藤吉郎の手が届かない方に葉を茂らそう」と思ったのか、茎の片方にしか葉を生やさないようになったそうです。 
 いつしか、茎の片方にしか葉を付けない葦を「片葉の葦」と呼ぶようになりました。
<もっと知りたい人へ>
見学場所:鎌研ぎ池(天白神社内) 浜松市南区頭陀寺町342

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