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中日春秋

2022年4月5日 05時00分 (4月5日 05時00分更新)
 エジプトに駐在していた約十年前、海沿いの保養地で外国人客が次々とサメに襲われた。ホテルの予約キャンセルが続出。現地の人々は隣国イスラエルの陰謀論を語った
▼「奴(やつ)らが凶暴なサメをエジプトに放した」「奴らがサメの体に特殊な装置を埋め、遠隔操作で人を襲っている」。かつて戦火を交えたイスラエルを嫌う庶民の間に陰謀論は珍しくないが、こんな話を本気にするのかと驚いた
▼ロシアのテレビでは最近、軍幹部がウクライナ情勢に関し、こう語っていたという。「アメリカ人の特殊訓練を受けたレーダー操作の鳥とコウモリによって致死的なウイルスがウクライナからロシアへもたらされる」
▼通信社配信のロシア女性の手記にあった。米国と結託するウクライナ軍が生物兵器を使う恐れがあると言いたいらしい。女性は「笑ってしまう」と真に受けていないが、信じている人も多いという
▼エジプトのサメの陰謀論の出どころは不明だったが、地元知事は当時、「陰謀論は問題外というわけでもない」と思わせぶりに語っていた。庶民が隣国のせいと思えば、批判は当局に向かない
▼権力のデマ利用だが、思えば近年、珍しくなくなった。鳥やコウモリの訓練に関与したとロシアに名指しされた国では昨年、当時の大統領が自身が敗れた選挙に「不正があった」と根拠なく言い、支持者が連邦議会を襲撃している。

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