本文へ移動

人工ウナギ量産化目指す 海みらい研究所=豊橋

2022年4月3日 16時00分 (4月3日 16時00分更新)
ふ化したばかりのウナギの仔魚(しぎょ)

ふ化したばかりのウナギの仔魚(しぎょ)

  • ふ化したばかりのウナギの仔魚(しぎょ)
  • 量産化へウナギへのホルモン投与も試みている=豊橋市で
  • 石倉かごで天然ウナギを捕獲、調査する関係者=同市杉山町で
 古くから日本の食文化で親しまれてきたウナギ。「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」が商標登録され、産地として知られる三河の天然ウナギを守ろうと奮闘しているのが、養殖の基礎研究を手掛ける企業「海みらい研究所」(豊橋市)だ。社長の丸崎敏夫さん(62)は「ウナギ文化を残すのが、この地域の務め」と話す。
 豊橋市出身の丸崎さんは、子どものころから釣りが好きだった。鹿児島大水産学部でアユやヒラメなど養殖魚の餌に関する研究に取り組んだ。卒業後は教員になり、蒲郡市の三谷水産高校の校長も務めた。同校は文部科学省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)指定を受け、高校では珍しいウナギの人工ふ化に成功した。
 生徒たちを指導するうちに、学生時代の研究熱が再燃。困難とされるウナギの完全養殖に取り組みたいと考えるようになり、退職直後の二〇二〇年四月、研究所を立ち上げた。
 ニホンウナギは一四年に国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種ⅠB類に指定された貴重な天然資源。ほとんどが養殖だが、天然のシラスウナギ(稚魚)の減少が深刻化している。丸崎さんは「ウナギが身近ではなくなり、食文化ではなくなるかも」と危機感を抱く。
 研究の柱となるのが人工のシラスウナギの量産化だ。長く生存させるため、効率的に栄養を摂取できる粉末状の餌を開発したのがその一つで、餌で水質が悪化しないよう、水に溶けにくい性質を持つ。現在特許申請をしている。ウナギ同士の自然受精や、ホルモンの投与で成長させる試みも続ける。
 三河湾に生息する天然ウナギの生態を明らかにしようと、豊橋市の汐川(しおかわ)干潟でモニタリング調査も実施。干潟に伝統的な「石倉かご」を設置し、捕まえたウナギにマイクロチップを埋め込んで個体の行方や成長速度などを調べている。
 さまざまな研究を同時並行で進めているが、「道半ばで、なかなかうまくいかない」と悩む丸崎さん。それでも「研究を継続し、安くておいしいウナギがたくさん食べられる時代が来るよう、努力していく」と話している。 (斎藤徹)

 シラスウナギ 水産庁によると、国内の収穫量は、ピークの1960年代は100トンを超えたが、70年代以降減少し続け、2019年は過去最低の3・7トン。地球温暖化や海洋の変化が原因とされる。このまま減少が続き、絶滅の恐れが1段階アップし、絶滅危惧種ⅠA類に指定されると漁獲や輸出入が規制される。


関連キーワード

おすすめ情報

愛知の新着

記事一覧