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【石川】災害住宅 迫る入居期限 能登半島地震15年 穴水に残る課題

2022年3月28日 05時00分 (3月28日 09時57分更新)
災害公営住宅での暮らしについて滝井元之さん(左)と話す水口紀美さん=石川県穴水町川島で

災害公営住宅での暮らしについて滝井元之さん(左)と話す水口紀美さん=石川県穴水町川島で

2年後 契約終了なら家賃増か

 2007年3月の能登半島地震発生から25日で15年を迎えた。石川県穴水町の災害公営住宅では、入居期限があと2年に迫った。町は09年、民間の賃貸マンションを町営住宅として借り上げる形で、18室のうち12室を災害公営住宅として被災者に安い賃料で提供している。期間は15年間で期限は24年4月末。町との契約が終了すれば民間に移行し家賃が上がる可能性が高く、入居者は不安を募らせている。(森本尚平)

町の方針決まらず 82歳「他に行く場所ない」

 「ここを離れたくない」。地震で店舗兼自宅が全壊し、当初から一人で暮らす水口紀美(としみ)さん(82)は話す。災害公営住宅となっている「やすらぎマンション」は町中心部に位置し、町役場や穴水総合病院、スーパー、商店街など、どれも一キロ圏内と立地が良い。家賃も国の補助などで安く抑えられている。民間となれば、今の二〜三倍の家賃に跳ね上がる可能性がある。
 水口さんは三年ほど前、十五年経過後はどうなるのかと不安に思い、町に問い合わせた。回答は「今のところ分かりません」。町がマンションの所有者と契約を延長すれば今の家賃のまま継続となる。民間に移行すると、直接所有者と家賃交渉する必要があるほか、家賃を払うのが厳しい場合は他の住宅に移らなければならない。水口さんは「なるべく自分の子どもたちに負担をかけたくないという思いもある」とこぼす。
 災害公営住宅には現在、六世帯が住む。長年暮らす七十代女性も「他に行けと言われても行くところはない。ここに置いてほしい」と切実に話す。当初から入居者への声掛けを続けている町ボランティア連絡協議会長の滝井元之さん(77)は「高齢者や足の悪い人、病気がちの人が多い。ほとんどの人は、そのままここで生活を続けたいはず。期限も迫っているので町にはしっかりと説明や対応を尽くしてほしい」と願う。
 町は期限をもって明け渡しを要求することを前提とはしていないが、家賃が高くなる可能性などは契約終了後の方針について入居時に説明しているという。最終的な方針は決まっておらず、新年度以降、マンション所有者と今後について話し合いを進める予定。町担当者は「入居者と所有者の意向に沿うよう協議していきたい」と話している。

▽阪神大震災での期限後は
 自治体で対応分かれる

 借り上げの災害公営住宅を巡っては20年の入居期限が過ぎた阪神大震災(1995年1月17日発生)の被災各自治体で、期限後の対応が分かれている。
 兵庫県では県や被災各市が都市再生機構(UR)などから20年の契約で被災者に住宅を貸し出した。期限後の対応として神戸市は85歳以上、要介護3以上、重度障害者の入居要件から外れた入居者に転居を求め、西宮市は全世帯を転居対象とした。両市は入居先のあっせんなどを続けたが、明け渡しに応じない入居者を提訴した。一方、宝塚や伊丹市は全世帯の継続入居を認めているほか、県や尼崎市は要件を神戸市より緩和し、対応している。

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