けいざい夏期講習(8) 高齢者の運転

2019年8月28日 02時00分 (5月27日 11時24分更新)

◆悲惨な事故減らせないの?

ナンキ工業が開発したペダル踏み間違い防止装置。アクセルに過大な力がかかると装置内部の「爪」が外れてブレーキに力が加わる仕組みだ=湖西市で

 ふーちゃん お年寄りが運転する車の悲惨な事故が問題になっているね。
 うな博士 四月に東京・池袋で八十代の男性が運転する車が歩行者を次々とはねて親子二人が死亡した。六月にも福岡市で八十代男性の車が暴走して男性と同乗者が死亡した。どちらもブレーキとアクセルのペダルの踏み間違いが原因とみられているよ。
 ふー どうにかして事故を減らせないのかな。
 博士 国土交通省は踏み間違い事故を防ぐ装置の開発計画を策定するよう自動車メーカーに求めた。二十七日に発表された概要によると、各社は新車への標準装備を進めていくよ。販売した車に後から付けられる装置も、トヨタ自動車とダイハツ工業は既に商品化していて、他社も来年夏以降の販売を予定している。
 ふー 他に後付け装置はないの?
 博士 自動車用品を売っているオートバックスセブン(東京)の店舗では「ペダルの見張り番2(ローマ数字の2)」という商品が人気だ。アクセルを急激に踏み込むと、センサーが検知してアクセルの信号をカットする仕組みで、幅広い車種に対応している。取付費込みで税別四万円と価格も手頃だね。
 中小企業の開発も盛んだよ。ナンキ工業(埼玉県川口市)は、アクセルを踏み込みすぎると、その力がブレーキに伝わるように切り替わる機械式の装置を開発した。バイオスシステム(湖西市)と一緒に性能の検証に取り組んでいるよ。
 ふー おじいちゃんに買ってあげようかな。
 博士 ちょっと待って。踏み間違い事故が社会問題になり、後付け装置の導入を補助する自治体が増えている。東京都は既に始めたし、県内では藤枝市などが検討しているよ。まずは、自分が住んでいる自治体の制度を調べてみよう。
 ふー 分かった。でも、そもそも運転に不安のある人もいるよね。
 博士 運転免許を自主的に返納する高齢者が年々増えているよ。二〇一八年は四十二万人余りで十年前の八倍に上った。ただ、地方だと電車やバスが通っていなかったり、本数が少なかったりして車が必需品になっているから難しいね。
 ふー 長い時間歩くのは大変だし、熱中症も心配だね。

◆踏み間違い対策、シニアカーも

運転免許を返納した人の購入が増えているスズキの電動車いす「セニアカー」=浜松市西区で

 博士 車の運転を卒業した人の移動手段として「シニアカー」と呼ばれる電動車いすの人気が高まっている。最高時速が六キロと早歩きと同じくらいで、歩道を走行できるんだ。今年は池袋の事故などの影響で販売が急増していて、業界首位のスズキでは七月の販売台数が前年同月より三割も増えたんだって。
 ヤマハ発動機の電動アシスト自転車も、免許を返納した人からの問い合わせが増えているそうだよ。ただ、こうした車両でも事故は起こり得る。スズキでは購入前に試乗してもらったり、安全運転の冊子を配ったりして啓発に努めているよ。
 ふー いろんな選択肢があるんだね。夏休みのうちに家族で話し合ってみるわ。
=おわり
(伊東浩一、久下悠一郎、山田晃史、鈴木啓紀が担当しました)

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